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蜜璃side
高校の入学式から少し経って
伊黒さんのお家にお邪魔した時
昔Aさんから貰った手紙を二人で持ち寄って
読み返していた時、伊黒さんが口を開いた
小芭内「甘露寺、俺は怖くて話さずに死ん出しまった。その話を…今聞いて貰えないだろうか」
蜜璃「?はい」
小芭内「鬼舞辻との戦い後、痣を出し俺の方が先に君を置いて逝ってしまった。でもあの時、死ねて良かったと思ったんだ」
蜜璃「…どうして?」
置いていかれた私はとても寂しくて悲しくて辛くて
伊黒さんより2歳年下な事を悔やんだのに
でも伊黒さんの言った言葉に息を呑んだ
小芭内「…甘露寺、昔の俺は…人を殺して私腹を肥やす汚い血族の人間なんだよ」
蜜璃「!!」
小芭内「強奪した金で屋敷を構え、飯を食らい、する必要も無い贅沢をする。恥を恥とも思わない、業突く張りで見栄っ張りの醜い一族。だからそんな俺では肉体ごと取り替えなければ君の傍らに居ることすら憚られた」
久しぶりに伊黒さんの悲しそうな顔を見た
どれくらい自分を憎んで、責めて、恨んで来たんだろう
そのまま伊黒さんはゆっくり続けた
┈┈┈┈┈┈┈
小芭内side
女ばかり生まれる家だった
男が生まれたのは三百七十年振りだと言われた
俺は生まれた時からずっと座敷牢に入っていた
俺の母や姉妹、叔母達は皆
猫撫で声で気色が悪い程親切で
とにかく毎日毎日俺に食い物を持ってきた
換気もままならず充満する脂の匂いに吐き気を催した
座敷牢は夜になると
何か巨大な物が這い回る不気味な音がする
視線を感じた、粘り着くような視線だ
俺は全身から汗が噴き出して
音が止むまでまんじりとも出来なかった
十二になった頃座敷牢から引きずり出された
煌びやかでゴテゴテと豪華な部屋
御神体のように鎮座していたのは
下肢が蛇のような女の鬼だった
夜中に俺を見に来ていたのはコイツだとすぐに解った
俺の一族はこの蛇鬼が人を殺して奪った金品で
生計を立てていた
その代わり赤ん坊が大好物のこの女に
自分達が産んだ赤ん坊を生け贄として捧げていた
俺は珍しく生まれた男で風変わりな目をしていた為
この女に大層気に入られ成長して喰える量が増えるまで
生かされていたのだ
俺は更にもう少しだけ生かされる事になり
女は俺の口の形を自分と揃えると言って切り裂き
溢れ落ちる血を盃に溜めて飲んだ
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琴音 - めちゃくちゃキュンキュンしました!ありがとうございました🙇 (2022年5月8日 16時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
若菜 - え・・・『柱 最強の女』の(続き?)現代編、なんですか? ごめんなさい。知りませんでした。 (2022年5月8日 16時) (レス) id: 65eb06c570 (このIDを非表示/違反報告)
Yu-grena(プロフ) - かれんさん» かれん様!コメントありがとうございます!トマトのくだりに触れて下さりありがとうございます、本当嬉しいです( ;∀;)あ、その後日談いいですね!どうせなら寒い国に飛ばしましょうか!()うわぁぁぁぁ嬉しいです!これからも頑張ります! (2021年2月25日 1時) (レス) id: 5ec0d29db1 (このIDを非表示/違反報告)
Yu-grena(プロフ) - 明里さん» 明里様!嬉しいコメントありがとうございます!ハマるだなんて本当に嬉しいです!(泣)これからも頑張っていきますので、引き続き読んでくださると嬉しいです! (2021年2月25日 1時) (レス) id: 5ec0d29db1 (このIDを非表示/違反報告)
かれん - それと後日談として、あの体育教師を他の地方に移動させるか、めっちゃ寒い国に飛ばすというのはどうでしょうか(;゚∇゚)この小説大好きなので。 (2021年2月25日 1時) (レス) id: 029fc8293f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Yu-grena | 作成日時:2021年2月18日 19時