螢石 (ページ7)

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酔いが回った様子のまるを担いでベッドまで連れていく。

ベッドに優しく降ろしてから薄ら開く目を此方に向ける彼の頭を撫でてやる。

すると不意に近付いたまるの顔。

酒癖の悪いまるの事だ、どうせキスでも迫るのだろうと思い肩を押す。

何時ものまるなら、此処で直ぐに終わるはず。

余裕だった俺が悪かった。

突然捕まれた両手首、見た事ない雄の顔をしたまる。

「お、いっ、まる…！冗談やめえっ、て… 」

何時ものように笑ってくれると思った。それでも近づくまるの顔。

きゅうっ、て締め付けられる心臓。

重なる唇。

食べられるみたいなキスに頭がくらくらする。

『なあ亮。俺が好きなんは亮やで、すばるくんじゃない。』

勘違いすんな、って何時もと違う低い声で囁かれる。

またちゅうっ、て重なる唇。

あれ、なんでおれないてんの。

気付いたみたいで、焦ったように覗き込むまる。

『ごめ、亮ちゃん。そやんな嫌よな、』

御免な、って優しく囁くから涙は止まらない。

ぴきぴきと皹が入る螢石。

喉の奥から溢れた思い。

「な、んやねん御前っ！すばるくん、すばるくん煩かった癖にっ。俺のことは怖い、って、嫌った…癖にっ…！俺は、ずっと好きやったのに…！なんやねん…。」

ぼろぼろ飛び出た想いに驚いた様子のまる。

『御免な、亮ちゃん。俺亮ちゃんがずっと好きやで。』

ふ、って笑って頭を撫でられる。

其からは好き、って囁かれながら泥みたいに眠った。

起きたときにはもう一度好きって伝えよう。

ばらばらになった螢石は御守りにして。