序章【邂逅】 ページ1
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「妖魔対策部へようこそ。稲葉類生くん」
どうしてこんなことになったのだろうか。
数時間前の自分を恨んでも、もう意味はない。こんなことになるのであれば声をかけられた時点で逃げればよかった。
会社の社長室のような場所で、僕はふかふかのソファーに座っている
「なんだか顰面をしているけれど、そこまで嫌なのかい?」
「まぁ、よく分からないまま連れて来られたので...」
面白そうな人を見ているような目で僕を見つめる綺麗なお姉さん基、川島霊子さん。
学校から帰宅している途中に話しかけられ、流されるままになんちゃら部に入社させられてしまった
「あはは!先程説明したはずなのだけれどね。仕方ない、君のためにもう一度説明してあげよう」
「えっと...妖魔って言う化け物を退治するために妖と手を組んで戦うっていうことですか?」
「大方はそうだね。妖魔を倒すためには妖と契約してもらうんだ。その際にはお互い身体のどこかに噛み跡を残さないといけない」
ただでさえ知らない人を噛むのに、しかも妖になんて。妖なんて御伽噺にしか出てこないと思ってた。もしかしてこれ何かの詐欺...!?
警戒し始めた僕を見てにやりと妖しく笑う霊子さん。
「君は妖魔や妖が現実にいないと思っているんだね」
「そりゃ、今まで見たことないんですから当然じゃないですか...!」
徐に立ち上がる彼女はドアまで歩いて振り返り手招きをしていた。
「君が信じていないなら、その目で確かめてもらうまでだね」
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