のーたいとる

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「本当だと、そう言ったな。」
「………。」

Aを引っ張り教室を出て校舎裏に着く
何度も逃げようとするので、壁と自分の体で挟み逃げられ無いようにすると漸く諦めたのか大人しくなった。

肘まで壁に付くと背の低いAはすっぽり収まり、逃げる場所が完全に無くなる。
目線を下に向けると、数段低い位置にある唇を尖らせた不服そうなAの顔が映った。


「何をしていた？」
「……、」

観念したのか、昨日合った出来事を洗いざらいに話し始める
今度こそ嘘はついていない、だがその内容に呆れかえって暫く口が開けなかった。

「またそんな危険な真似を…！」
「雑魚は何人居ても雑魚だよ。私なら平気。」
「怪我をしているだろ！」
「ちょっと油断しただけ。」

_____こういう事は前にもあった。
だが、少し怒れば反省してくれたのだが、今日は中々食い下がらない。
むしろどんどんむくれていくAに戸惑う。

「心配をしているんだ、A！」
「誰の？」

キッと鋭い目で睨まれる
当然、A、お前のことだろう。だが睨まれた驚きで固まり返事が遅れる。

「決まってるだろ、」
「アズ君！Aさん！」
「入間様！？」

言葉を遮る入間様の声
探しにきてくれたのか息が荒い。

「カルエゴ先生が一限が始まる前に呼び戻して来いって…、」
「申し訳ありません！お手数をおかけしました！戻るぞA。」
「私、帰るわ。………。」
「え？え？」

入間様の戸惑う声と、ツカツカと高いヒールの音に慌てて振り向く
ドカッと壁に穴が空く鈍い音がした

入間様のお顔の横に見慣れたブーツを履いた右足が壁に突き刺さっているのが目に入った

「わ、わっ！？」
「入間様！A、その足を退けろ。今度は冗談じゃ済まさないぞ！」
「……じゃあさっきまでのは冗談だったの？酷いね、冗談で“心配”だなんて。」

違う、決してそう言う意味で言ったんじゃない！入間様を早く解放しなければという焦燥感と相まって上手く言葉が出てこない。

「入間、私はお前が嫌いだ。」

そう吐き捨てる様に言って足を下ろしそのままどこかに飛んでいってしまった。

「無事ですか！？」
「僕は何もされてないよ……だけどAさんが、」

凄く寂しそうな顔をしている気がする。

入間様がそう言った。

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