子供に戻る時。芥川 ページ2
白い塊を美味しそうに頬張っている。
僕には何が楽しいのかわからなかった。
「なぁ、それは美味しいのか」
「綿菓子?美味しいよ!ふわふわしてて甘くてなんだかね、ナンパしてる太宰さんみたいな味」
独特な喩えと優しそうで甘い太宰さんがじふんの中ではいまいち浮かばなくてもやっとしてしまう。黒いモヤが脳を埋めた。
親指と人差し指を合わせて、綿菓子を引きちぎる。
「芥川くんにも甘さをあげよう、楽しい気持ちになるよ」
そんな幸せなことがあるものか、僕の彼女は夢見がちすぎる。と溜息をつきながらも、その指ごと食べる。彼女の感触と、甘い味が絡んで、脳がくらりと揺れた。
うまく息ができなさそうなお互いを見つめるのももどかしい。そんな瞳をするAを話してしまう。
「甘すぎるな、無花果のように酸味も欲しい」
「それとこれとは別なんだよ。
夢見てる時だけの、絶望も悲しみもない無垢な赤ちゃんみたいな感情が生まれる。私もこうだったの、あなたもあの人も。あの悪人面も太宰さんも人虎も中原さんもみんなそうなの。多分」
そこから個性が生まれて人格が生まれて強くなって、恋をして、友を作ってって人生は生まれたり作ったりの連続だよね。
「その色が着く前の味がやっぱり綿飴なんだよ。甘い時がいい時もあるじゃん?」
「承知。次からはもっと甘いといえる2人の雰囲気を設置できるよう善処する」
不満げな表情を向けられて、なんかめんどくさい。そうじゃなかったんだけどな、綿あめの良さが伝えたかっただけなのに。
「楽しみにしてる、どんだけ甘ったるいか」
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ひな(プロフ) - まーちゃんの新作っ!!!まーちゃんの書く文ストが大好きです!どれも読んでてツラい!(褒めてます)これからこの短編がどんな風に進んでいくのかがとっても楽しみです!まーちゃんも忙しくて大変だと思うけど、更新頑張ってね!何時までも応援してるよー! (2018年5月9日 18時) (レス) id: a17b4c9a51 (このIDを非表示/違反報告)
チキンカツ - 枕崎さんの作品は、表現が良くて大好きですっ。作品は全部読んでます、芥川のお話面白かったです〜。 (2018年5月7日 22時) (レス) id: 0708dadb3c (このIDを非表示/違反報告)
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