fire.11 ページ10
そして第一部隊の出陣の準備が整った。
刀剣男士を中庭に集め、部隊を読み上げた。
「ただいまより、第一部隊を発表します。
副隊長、太刀、燭台切光忠。
短刀、薬研藤四郎。
脇差、鯰尾藤四郎。
打刀、大倶利伽羅。
短刀、五虎退。
最後に隊長。打刀、陸奥守吉行。」
呼ばれた男士が転移門の前に並んだ。
「本丸の留守は、歌仙兼定に任せます。」
「あぁ、任せてくれ。」
同じく転移門前に私も並ぶ。本丸に残る男士たちの目が一斉に自分に向くようで、少し身じろぎする。
異例の審神者同行の出陣。中には批判する男士もいたが、初期刀の吉行が「わしらを信じてくれやせんか」と、必死の説得で本丸は今や一丸となっている。
「主様！どうか怪我のないように…！」
「いつもの無茶はダメですからね！」
「主に怪我させたら許さないからな！」
「分かっちゅう！おんしらも本丸を頼むぜよ！！
それじゃあ…」
「「「「「行って(くる)きます」」」」」
「「「「「「「行ってらっしゃい！！」」」」」」」
本丸を背にし、転移門をくぐる直前まで男士達の背中を押す声が聞こえた。
必ず、生きて帰るんだ。
皆が待つ、この本丸へ…！
転移門をくぐると崖の上。下には緑で繁く広大な森が続いていた。
この時代での任務は、函館の森に隠れた旧幕府軍を狙う遡行軍の討伐である。
データだと、短刀や脇差を中心とした遡行軍が出没するという。
「ここが、戦場になるんですね…」
「五虎退、怖い？」
「い、いえ…！僕は、主様を守る守り刀ですから…！こ、怖くなんか…！！」
そういう五虎退の刀を両手で持つ手は震えていた。
怖くないわけはない、人の身を得てから初めての戦だ。
主の私が怖がってる場合じゃない。
「大丈夫、貴方は強い刀なんだから。」
五虎退の頭を撫で、戦場を見渡す。
「皆で、生きて帰るよ！」
「「「「「おう！(はい！)」」」」」
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作者名：宵ノ月 | 作成日時：2023年9月28日 6時
