黎明に縋る僕達は。 (ページ6)

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fire.6 ページ6

今回の件はもちろん時の政府に報告された。

電報により「陸奥守吉行を刀解すべし」とのお達しが下った。

「審神者様の意思をお聞かせくださいませ。こんのすけもその決断に一任致します。」

「管狐なのに政府の言う通りにしろとは言わないんだな。」

「…こんのすけはこんのすけです、政府にいたときに、私も他のものより人の言葉を理解し話すのが遅く、出来損ないと言われました…。

いじめられたりして、このように片耳が切れてしまいました。ですが、審神者様と陸奥守様の2人のように前向きになろうと思ったのです。

わたくしはお2人に着いていきます！それがこんのすけの意思でございます！」

「今のところ3人キズモノってわけだ。ありがとうこんのすけ、私も私たちらしく前に向くことにしよう。」

「ということは…」

「陸奥守は刀解しない。交換もしない。」

「…ッ！了解致しました！」

こんのすけは報告に行くのか光の速さで部屋を出ていった。

さて、

「聞いているんだろう陸奥守。」

「…バレちょったがか。」

「半分当てずっぽうだったがな。この事については2人きりで話すべきだろうとは思っていたんだ。」

申し訳なさそうに襖を開け、以前のように堂々とした様子はなく身を縮こませながら私の前に正座した。

私も相対するように正座する。

陸奥守は何度か深呼吸をした後、重々しく口を開いた。

「…わしは、龍馬を守れんかった。初めて抜かれたんが池田屋じゃ、ずっと宝刀やったき、人を斬ったことは1度もなかったがやけんど、初めて浴びた血は…龍馬の血じゃ。

その後は釧路で焼けて1度わしはわしじゃなくなった。あの時の熱さは今でも覚えゆう。戦場でわしから出た炎は、そん時とそっくりじゃ。」

そこまで話してから俯いていた顔はゆっくりと上がり目が合う。まっすぐで、でもどこか儚い。

そうか、私たちは同じなんだ。

「…では、次は私が話そう。私は代々審神者を継ぐ家に生まれた。だが、幼い頃に刀装を作ろうとした時に失敗してな、この有り様だ。」

顔のベールを外す。顔の傷に陸奥守の目は見開かれた。

「…触れてもいいじゃろうか。」

吉行の右手がそっと私の顔の火傷に触れた。壊れないようにそっと優しく。

「わしと、おそろいじゃな。わしらは2人で1つじゃ。この火傷があったからわしらは会えたんじゃ。支え合っていくがよ、主。」

「…あぁ！」

そこで交した握手は前のように弾かれず、私達は顔を合わせて笑い合った。