黎明に縋る僕達は。 (ページ21)

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fire.21 ページ21

本丸中で男士たちが忙しなく動く。

政府との連絡を試みる者、最悪の場合に備え武装する者、救援に向かうため編成を考える者、顔面蒼白になり呼吸もままならない審神者の側で支える者。

その場にいる全員がただひたすら無事を祈り続けるしかなかった。待つ側とはこんなにも無力なのか、なにか手はないのかと。

「主様、大丈夫です。兄弟を信じてください！」

「僕たちは主の笑顔を守るために強くなったんだよ。今は彼らを信じることが1番だろう？」

ただ一人、部屋に閉じこもり画面と向き合ってた緊張から解かれ秋田と歌仙に支えられて一度部屋を出ることにした。

すると、本丸中の全員が部屋の前で武装して立っていた。

「向こうからの連絡が無いんじゃ、何が起こるかわからないからな！」

「...それに主のことも不安だった。」

「何があっても主様は僕らが守ります！」

厚、小夜、前田、自分と大して背丈も変わらない、もしかしたら小さいかもしれない彼らが今はとにかく大きく、たくましく見えた。

「信じよう！主！大丈夫だから！」

加州に思い切り、かつ優しく抱きしめられ思わず涙がこぼれた。

信じて待とう。それが私にできる精一杯だ。

加州は、肩口が濡れるのも気にせず、せっかく可愛いんだから笑ってよ〜！と優しく布の上から傷だらけの頬を撫でた。

顕現した皆、誰一人、傷跡を見て気味が悪いと言う人はいなかった。拒絶する人はいなかった。

吉行のことも、なら強くなって支えればいいんだろ？と言い、杞憂だったねと、顔を見合わせ笑った日々もあった。

全てがこの本丸に詰まってる。この本丸が私の全てだ。

政府によると、転移門は故障していない。通信装置のみが反応が消失したらしい。

審神者の部屋でみんなの生存状態は確認出来るが、数人が軽傷になったのをみて目をそらした。

でも必ず生きて帰ると信じている。

皆で本丸の転移門の前で待つことにした。