黎明に縋る僕達は。 (ページ17)

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fire.17 ページ17

「呼んだ理由は、分かっているな？」

冷徹に、だが噴き上がる炎のように、張り詰めた空気が審神者の部屋に充満する。

「…りべんじ、っちゅう事じゃな？」

「その通りだ。」

「でも、まだ陸奥守くんは完治していないんだよね？その状態での出陣はあまりにも危険すぎるんじゃない…？」

燭台切の一言に視線が陸奥守に集まる。

帰城した時よりは傷が治りつつあるが、まだ完治には程遠い状態でいる。

「それも政府の狙いだろう。吉行の炎を意図的に出させようとしているんだと思う。」

「そ、そんな…」

「政府は吉行の炎を限界突破した際に起こる、"真剣必殺"の状態だと推測しているらしい。だからわざと、傷が治っていない状態での出陣をさせるんだろう。」

「…旦那はそれでいいのか？」

薬研が吉行に問う。審神者としてはもちろん、行かせたくはない。もし破壊なんてことになってしまったら、きっと今まで以上に自分を悔いるだろう。

だが、全ては吉行の意志に委ねよう。決定権は、吉行にある。

吉行以外が緊迫として重苦しい空気を纏う中、吉行は持ち前の笑顔で笑って見せた。

「何をそがに考え込んじゅうんじゃ！死ぬわけじゃあるまいし、なんちゃあないぜよ！！…何より、」

「わしらは、もう1人じゃない。仲間じゃ、おんしらがいれば、主がいれば、なんちゃあないぜよ。」

そうじゃろ？と肩を組んで笑う吉行につられて困ったように笑顔がほころんだ。

それは1つの火種となって皆の心に火を灯した。