fire.14 ページ14
弊本丸の初出陣は、重症者1振り、中傷者2振り、軽傷者3振りという結果で終わった。
イレギュラーに出没した大太刀について、時の政府からの説明は無く、「再度会った時のために備えろ」といった言葉だけであった。
資源の関係上最低限の手入れしか出来なかったため、特に傷が酷かった吉行と五虎退と薬研の3振りは痛々しい包帯を外せずにいた。
そして、今から審神者の部屋で初陣の反省会だ。
皆の包帯を巻いた姿をみた時、自分の不甲斐なさに襲われ、目から大粒の涙が零れた。
「本当にごめんなさい、私の力不足で、皆に怪我を負わせてしまった…何も出来なかった…」
「主、顔を上げて、幸い折れた者はいなかったのだからいいじゃないか。」
「陸奥守さんが炎に飲み込まれずに戻れたのも主様の力のおかげですよ、あまり自分を責めないで下さい！」
燭台切と鯰尾からの言葉も素直に受け止められず、私の心は完全に萎縮してしまった。
戦いについて、刀である彼らの尊厳を奪うわけにはいかないと思う反面、もう誰にも傷ついて欲しくないという気持ちが強かった。
「主。」
吉行の真面目な声色に思わず体が震えた。
「結果は結果じゃ、反省活かさんと同じこと繰り返すだけぜよ。見れる夜明けも見れんくなる。」
一通り話すと、雰囲気は柔らかくして吉行はフッと息を吐いた。
「ま、わしが身体の中の炎を自在に操れるようになれば一番良いけんど、まだまだ実戦経験が必要じゃな。気ぃ取り直して遠征やら何やらやって皆で強くなるぜよ！！」
吉行の一言で解散した。
だが、皆が各々の部屋へと帰る中、吉行は部屋に向かわずにいた。
「主、ちと話したいことがあるんじゃ。」
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作者名：宵ノ月 | 作成日時：2023年9月28日 6時
