fire.11 ページ11
「薬研、五虎退、鯰尾、周囲の偵察を。他三人は審神者の加護を付与するからこちらへ。」
偵察能力に長けた三人を送り出しているうちに手早く加護を送る。加護と言っても少しだけ防御力を上げる程度だ。
念には念を、ここは戦場だ、なにがあってもおかしくはない。
「主、偵察行ってきたぜ。ここから南東、そう遠くないところに短刀が二振り。脇差一振りがウロウロしてる。」
「僕のところも同じような感じです。南西に短刀三振りがいました！」
「あとは五虎退くんだけだね…」
燭台切がそういった途端、時間圧で全身に電気が走ったように痺れた。
…嫌な、予感がする。
「あ、主様…！！ここから北の方角、大太刀、の、遡行軍が、こっちに、短刀も、もう着きます、！」
五虎退が目に涙を浮かべながら報告した。その顔には数箇所の切り傷があった。
カッと頭に血が上る。
「総員戦闘態勢！魚鱗陣で迎え撃つ！鯰尾は吉行に着いてサポートを！その他短刀はサポートを中心に二対一で確実に撃て！全員生きて帰ることを最優先に動け！！」
「主はどうするんだ！」
「私は自分で結界を張って遠距離でサポートを…」
「森に隠れちょけ！！主がやられたら元も子もないぜよ！！ええな！！！」
食い気味の吉行の言葉に反射で体が動き、森に身を隠した。
それよりもなぜ、この戦場にいないはずの大太刀なんかがいるんだ…
隊の中で比較的機動の高い五虎退に傷をつける短刀もきっと普通じゃない…
転移先を間違えたか、はたまた政府の嫌がらせに引っかかったか…
男士達の命がかかってるのにこれを嫌がらせで済ませられるわけないだろうが…！
怒りで我を忘れるわけにはいかない、息を深く吸い一気に吐き出した。
冷静に戦場と向き合った。
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作者名：宵ノ月 | 作成日時：2023年9月28日 6時
