黎明に縋る僕達は。 (ページ1)

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fire.1 ページ1

久しく日を見ていない。

日に当たると傷を隠しきれないから。

暗闇を照らす行灯でさえ忌々しく感じ無くしてもらった。

日、火、陽、考えるのでさえ億劫になる。

事の発端は数年前、屋敷の使いがまだ私に笑いかけていた頃。

代々審神者の家業を継ぐ家に生まれた私は日々、刀剣男士と戯れ、兄と慕っていた。

物心がつくと同時にその力に目覚め周りの者からは大層期待されていた。

そして、初めての刀装を生成するとき。

力を込めるのが悪かったのか、集中が足りなかったのか、拒絶されるように生成中の刀装が破裂し顔に火傷を負った。

家の者からは、"期待していたのに"、"母親の方は優秀な審神者だというのに"、"刀装すらも作れないとは、救いようがない"など。

挙げ句には"神に拒絶された"と話は二転三転し、その話は時の政府にまで伝わった。

要注意人物とされたあの日から、長らく刀剣男士も見ていないし、人と接することも最小限となった。

毎晩のようにあの日の炎に魘されて起きる日々で体は疲弊しきっていた。

いっそのこと殺せばいいのに、という言葉は口に出る前に揉み消した。

きっと私を切るのは政府の刀剣男士だからだ。

出来る限り彼らに人斬りはさせたくないと思っていた。母の本丸で初めて人の体で人を斬ったことに泣いた短刀を見たからだ。

例え道具でも、心があって人の体を持つなら、その力は正しいことに使って欲しい。

私なんかのために手を汚さないで欲しい。

心に灯った炎を絶やさないように身を丸めて目を閉じた。