第二章 毒されていく心 ページ4
「んで、姫騎士さん、なんで俺を牢屋行きにしなかったんだい。」
年と声の割になんだかおっさん臭い言葉を使うんだな、などと思いながら隣に腰を掛けて相手の顔をチラ見する。
視線は自分の方ではなく、槍や椅子、テーブルに向けられていた
この様子から見て完全に警戒は解けたようだ、もう少し警戒してもいい気はするがもちろんこちらも手を出す気はないし指摘するのはやめておこう
『姫騎士さんという呼び方は気に食わんな…、とりあえずその…お主に我の……』
言いかけている途中で言葉は喉に詰まった、もしこの願いがあっさり断られたのならどうだろうか。もしも気持ち悪いと言われたら。
そんな幾多の可能性が一瞬で脳内を駆け回った、それでも言わなければ始まらない。
一つ息を飲めばいつもの笑みを顔に貼りつけて口を開く、
『友達になってほしいのだが…』
言い終えればゆっくりとフィシーの方へ顔を向けた、さっきまで他の物を見ていた視線は紛れもなく自分に向けられている。その眼光は驚いたように丸くなっていた。
窓から吹き込む風が心を騒がせるかのように一気に強くなった気がする、いつの間にか出てきた冷や汗が私の頬を撫でるようにつたっていく。
やっぱり、ダメだったか。心の中で笑いながらそう呟いた。
しかしその心の声は次のフィシーの言葉で掻き消される、
「……あー…ぁ…お安い御用…だ。そんな為に牢屋行きにしなかったのは少し…驚いた…けど…な…」
一気に、真っ黒だった世界が明るくなったような感覚が私を襲った。
微笑みながらそう言うフィシーの顔に、嫌悪の表情など全く浮かばせていない。
真珠のように美しい髪を風で小さくなびかせるその姿は、まるで翼のない天使のようだと改めて認知した。
いいや、実際彼は私にとっての天使だろう。
こんな私に優しくしてくれる相手など母親以外に初めてだった。
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よぬば(プロフ) - コメントありがとうございます(*^^*)やはり占ツクではこういったシリアスというか、こういう系の小説は少ないですよね…。受け悪いだろうなーと思い作っていたのですがそう言っていただけると本当に嬉しいです…！改めてありがとうございます！ (2017年11月25日 21時) (
レス) id: 0bc43fc3f6 (このIDを非表示/違反報告)
リンク(プロフ) - 今の占ツクには滅多にない良作を発見しました。やっぱり、最近の占ツクにあるような物よりも、こういう文章の書き方の方が好きですね(*´∇｀*)これからも応援させて下さい！ (2017年11月22日 7時) (携帯から) (レス) id: b3533b2202 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：よぬば | 作成日時：2017年11月1日 16時
