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｢ホンマは保健室連れてってやりたいんやけど…｣
｢別に歩けるで？｣
｢アカンわアホ、悪化したら今後色々面倒やろ｣
そう言うと、俺の隣に座る。
…身長は然程差は無いんやな。
細身の長身で出てるところは出ている。
まさにモデル体型。
ユニフォームから投げ出された手足は余計な肉はなく、真っ白で柔らかそうだ。
バスケやってたら足とか太くなりそうやけどな…案外そんなことないんかな。
｢緑川は剣道部やったよな｣
｢うん｣
｢剣道…中学以来やってへんわ｣
｢閨島なら簡単にこなしそうやけどな｣
頭も良くて運動神経も良くて容姿にも恵まれている。
皆にも好かれとるし、完璧な存在…高嶺の花やでホンマ。
｢…そんなことないで、私完璧やあらへんから｣
か細い声だった。
弱々しくてすぐに消えてしまいそうな…そんな声だった。
俯いた閨島の顔は影で見えなかったが、きっと恐ろしく暗い顔をしているんだろう。
震える声でぽつぽつと閨島は語りだした。
｢実は中学の頃から親海外に居んねん。両親共働きで家族団欒の時間なんて無かったんや。
親は仕事一筋やったから私達に興味あらへんくてさ、でも私褒めて貰いたかってん。
認めて欲しくて、お婆ちゃんに無理言って習い事させてもらったりしてたんよ。勉強もそうや。
でもどんだけ頑張っても褒めてくれなかった、私達が近付くと飛んで来るのは｢疲れてるから後にして｣それだけやった。
…親なんてもん、血繋がってても結局は他人なんや｣
…ああそうか。
閨島は寂しかったんか。
いつも疑問に思っとった、誰かと話してるときも閨島が何か隠しとる感じなの。
閨島独特の儚さも不思議さも、きっとこの寂しさが根底にあったからなんや。
こんなにも暑いというのに、閨島は微かに震えていた。
｢…ごめん、言われてもって感じよな｣
そう言って窶れた笑顔を見せる。
…閨島幸暖という人間は、思っていたよりも闇が深いのかもしれない。
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櫻夢(プロフ) - 紫さん» 勿体なきお言葉…！有難うございます！拙い文ですがこれからも精進させて頂きます！ (2020年4月29日 0時) (
レス) id: c6ce1548f4 (このIDを非表示/違反報告)
紫 - 続きも頑張ってください(*＞∇＜)ﾉこの小説大好きです!!! (2020年4月28日 11時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：櫻夢 | 作成日時：2020年1月12日 12時
