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最終選別編:玖噺_玖話目 ページ12

「おぉーい!樹ー!?」

…樹と、はぐれた…。
目を離した隙にフラッと。
良くあることだし心配はしてないけど、やっぱり不安。
悪い虫が付かなければ良いけど。


「すっ…済まない…俺がちゃんと見てれば…」

「大丈夫です、良くある事ですし、彼女は強いので」


…腰にある刀を見る。
これは確かに日輪刀だが、私の物でも樹の物でも無い。
…亡くなった鬼殺隊士の物である。

以前、守りきれなかった隊士が、家族に渡してくれと受け取ったものだ。
しかし、その家族は、「私達が持つ資格はない。貴方達が持っておいてくれ」
と、頑なに受け取らなかった。
結局折れた私達が、これを持つ事になったのだ。

…!

突然、竈門さんが鼻を押さえた。
…分からなくはない。何せ酷い腐臭だ。
さっき聞いた話では、竈門さんはどうやら鼻がすごい良いらしい。
一般的な私でさえキツいのだ
竈門さんならこれは…鼻が曲がってしまう程辛い筈だろう。


「うわァァァ!!」


叫び声…鬼…?

声のした方向に目を向ける。

ズルズルと音を立て、這いずってきたソレはやはり鬼で
首を折られたのだろうか?口から血を垂れ流した男性を持っていた。

だがそれよりも…


「…大型の、異形…?」


そう、その鬼は相当な大きさで、異形と呼ばれる姿をしていた。
本来、この場所には人間をあまり喰っていない、弱い鬼が入れられる。
飢餓状態であるために誰彼構わず人間を襲うが、本質的には弱い鬼のみ。
なのにこの鬼は、大型で異形…ざっと五十人は喰っているんじゃないだろうか。

異形の鬼の腕が合わさっていき、伸びた手が男性の足首を掴む。
男性はギャアアァと声をあげた。

…頭ではこんなに冷静なのに、身体が動かない。
どうして、私はこんなにも無力なんだろう?

竈門さんが男性を掴んでいた鬼の手を斬った。
そして男性を庇うように前に立つ。

…嗚呼、勇敢だな。

自分が憎らしい、何もせずただ突っ立っているだけの私が。

何時だって、私は守られてばかりだ。

あの日も、今までも、そして今日も。

嗚呼、どうして私には背が無いんだろう?
どうして私には…目標や決意が無いんだろう?
どうして私には才能が無いんだろう?

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作者名:櫻夢 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Ymamihaa131/  
作成日時:2019年9月8日 4時

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