蝶が五匹 ページ6
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住み込みで珱姫の護衛として雇われることになって早くも一年近くが経った。
色々あったが、珱姫とは今では友人としても仲良くしている。
私の雇い主である珱姫の父が大きなお金を払って雇っている花開院家の陰陽師の人達とは、最初は警戒されていが、今はそれなりに仲良くさせてもらっている。
縁側の柱に背を預け、目を閉じる。
職務をサボっている訳ではなく、目を閉じることで意識を集中させている。
病に苦しむ人達と治癒をする珱姫と珱姫の父と陰陽師のいる部屋のすぐ側の縁側。
顔を布面で隠している私が部屋の中にいると怪しむだろうと言うことで何があっても大丈夫なようにと私から提案した。
柱に刀を抱え込むように背を預けているとどこからか視線を感じた。
目を開けて視線を感じる場所へ目を向ける。
最近の私の悩みの種だ。
ここ数日感じる視線。
誰に見られているのか、何が目的なのか不明な視線に警戒する。
姿の見えない視線の主については珱姫にも珱姫の父にも陰陽師達にも言っていない。
「そろそろ、本格的に動き出して見つけ出さないとな……」
視線の主について考えていると、門の方から弱い妖の気配を感じた。
「生き肝をよこせぇ〜〜〜〜〜」
珱姫に襲いかかろうと妖から隠すように珱姫の前に立ち、刀を抜き、襲いかかる妖を斬る。
斬られた妖はドッと畳の上へ落ちた。
動かないことを確認し、刀を鞘の中に収め、珱姫の方を向く。
私が大丈夫かと声をかけるより早く、慌てたようにしてやってきた珱姫の父が珱姫に声をかけた。
「どこかケガはないかい〜〜〜〜〜〜！？お前はワシの宝…お前が死んだらワシは……！！」
珱姫の心配をするような言葉に眉を寄せる。
珱姫の父の本性を知っている身からすれば、その言葉は非常に嘘くさく聞こえて仕方がない。
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