漆黒の禍狗はパパになったようです

かぜひき １ ページ23

水無月カエデ様、リクエストありがとうございます！(大変遅れて仕舞い、申し訳ありません)
(2歳頃)
『けほっけほっ…うぅ…』

治春は、顔を真っ赤にして、ベッドの中で苦しそうに浅い呼吸を繰り返していた。

「…ッ、おい、A、本当に大丈夫なのか？」

「大丈夫。本当に只の風邪だし、薬もちゃんと飲んだから命に関わるような状態じゃ無いよ」

「…そうか…」

芥川はそう云いながらも、苦しそうな様子の治春の頭をそっと撫でた。

治春は幸いな事に芥川の虚弱な体質は受け継がなかった様で、一年に数回、風邪をひくかひかないか、という程に元気の良い子である。
その為か、芥川は普段の治春では考えられない程弱っている其の姿に、何時に無くおろおろとしていた。

事の発端は、つい数時間前の朝食の時間、何時もはぱくぱくとよく食べる治春が其の時はご飯に手を着けず、ぼぅっとしていたのだ。

愛娘の様子がおかしい事に気が付いた芥川が、治春の額に手を当ててみた所、かなり熱かった為、マフィアの医療班に務める妻のAに娘を診せた結果、風邪をひいたことが判明し、現在に至る。

『うゅ…ぱぱ…おみじゅ…』

「判った。今ポ◯リを取って来てやる」

ベッドの傍に座り娘を見守っていた芥川が立ち上り、台所にポカ◯を取りに行こうとする。

『や…。ぱぱ…、いかやいで…』

芥川が、服の裾を引く弱々しい力に振り返ると、治春が大きな目を潤ませて、芥川を見上げていた。

「…分かった。心配せずとも、お前の父は此処にいる。」

芥川が再び娘の近くに座り、小さな頭を優しく撫でると、治春は安心したのか、すぐにすやすやと寝息を立てながら寝てしまった。

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