まいご 2 ページ17
「くぉおおおら!太宰!今日という今日は仕事を…!」
武装探偵社では、今日も国木田の怒号が響いていた。
「全く、そんなに怒ると胃に穴が開くよ〜、国木田く〜ん?それよりも、今日はいい天気だねぇ。よし、こんな日にこそ心中だ!そうと決まったら早速…」
「行かせるかぁァァァァァ!!!」
ソファの上でうだうだと寝転んでいた太宰が起き上がり、ドアノブに手をかけ、国木田が彼に技をかけようとした瞬間ガチャリ、とドアが開き、
「な、中島敦です〜。も、戻ってきました〜」
と、敦が帰ってきた。
腕に、1、2歳位と思われる幼子を抱えて。
「…敦、どの様な事情があったかは深くは聞かない…だが、此れだけは云っておく」
元居た場所に返してこい。
「って、国木田さん、何か絶対誤解してますって!それに、犬猫じゃああるまいし…」
「…貴方にそんな趣味があったなんて」
こそっ、と与謝野の後ろに隠れながら、鏡花が呟いた。
「…おや、敦、真坂とは思うけど、隠し子かい?中々やるじゃアないか」
「鏡花ちゃん…だから誤解だってば…。後、与謝野先生、刃物を仕舞って下さい…」
皆が敦に対し在らぬ嫌疑をかける中、太宰は敦の腕の中できょとん、とした様子の幼子に気が付くと
「おや、誰かと思えば治春ちゃんじゃないか、パパとママはどうしたんだい?」
と、ほ〜ら、だじゃいしゃんだよ〜、と云いながら幼子を抱えた。
そして、幼子も人見知りをする様子もなく、きゃっきゃ、と笑いながら太宰の顔をぺちぺちと叩いていた。
その様子を唯々呆然と見ていた国木田は、はっと我に帰ると、
「太宰、その童子は知り合いか?」
と尋ねると太宰は
「嗚呼。まあ、正確には『知り合い』の子かな」
と答えた。
「だぁーれ?」
不意に、太宰に抱かれていた治春が国木田を指差し、こてん、と首を傾げながら云った。
「…ッ!こ、こら、人を指差すものでは…」
可愛いと思いながらもつい、何時ものように強い調子で注意してしまい、はっと気が付くと、治春は、大きな目一杯に涙をためていた。
「あーあー、国木田君が治春ちゃん泣かした〜。」
太宰がわざとらしいような声を出し、おーよしよし、と治春の頭を撫でる。
「あ、わ、悪かった。ほら、此れをやるから、もう泣くな」
『独歩吟客』で小さな兎のぬいぐるみを具現化し、治春に差し出すと、治春ちゃんは
「あぅ!うしゃしゃん!」
と笑い、にこにこ顔でぬいぐるみを受け取った。
150人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チエリ(プロフ) - リクエストです。娘ちゃんの七五三が見たいです! (2020年12月2日 16時) (レス) id: 26773a3f05 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - リクエストしてもいいですか子供ちゃんが芥川君にいやと言って太宰さんに懐いたらお願いします (2020年11月28日 14時) (レス) id: c1f033818d (このIDを非表示/違反報告)
あやねっち - 更新楽しみです! リクエストで 夢主が長期任務に行ったらでお願いします 医療なのであまり無いと思いますがお願いします! (2020年6月3日 22時) (レス) id: a393e3772d (このIDを非表示/違反報告)
ルナ(プロフ) - 森さんとエリスとの触れ合いが読みたいです。 森さんにお茶を運ぶちーちゃんとかエリスとおままごとするちーちゃんとか… 中也の帽子を被って真似っこするちーちゃんとか。 (2020年4月15日 20時) (携帯から) (レス) id: 66cf0ac4ec (このIDを非表示/違反報告)
水無月カエデ(プロフ) - リクエストよろしいですか?治春ちゃんが風邪ひいて、主人公と芥川が看病するお話はどうでしょうか? (2019年8月12日 8時) (レス) id: 6738e6e757 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:独楽:ころん | 作成日時:2018年8月12日 20時