第五話 賞味期限は良いとして消費期限は成る可く守ろう ページ5
「生きてない?」
その言葉にこの場にいる全員が首を傾げたことでしょうね
勿論私も。彼女の言う“生きてない”とはつまり。そういうこと
「亡くなったのですか?Aさん」
そう訪ねると数秒間を置き、彼女は頷いた
もしや自分で…?
ですがその場合ですと重罪になり、阿鼻地獄逝きになります
“通常の亡者の場合は”ですが。彼女の場合は特異な事情があるのでそもそも裁判で裁けるのかどうかということになります
「経緯をお聞きしても?」
「経緯?そうね…以前ここに来たのを覚えてるわよね?」
「はい」
「その時にここの世界の食事を私、口にしたでしょう」
「ああ…そうですね」
“生者があの世のものを口にすると二度と現世へ戻れなくなる”
そういったケースは数回あり、まだ寿命があるものの黄泉のものの食べ物を口にしてしまい、あの世逝きを余儀なくされたという方はいらっしゃいます
「だけど私の場合、鬼灯達のいる世界の現世の住人じゃないということもあり死ぬことはなかったの」
なるほど
そういう…フィールドが違えばルールが無効になる
そういったものに近いのでしょう
「でも私は地獄に来たいって思ってた。あんたがあの日会いに来た時に本来なら食べるつもりだったんだけど…」
「食べる?」
「そうよ」
Aさん言わく、地獄の食べ物を自分の世界に持ち帰ったのだとか
持ち帰ることで“自分の世界のもの”と認識させる為にしたのですね
彼女の世界に“あの世のを食べたら亡くなる”という認識を持たせるために
「でもあの時あんたに“若すぎる”って言われたから、タイミングを変えたのよ」
「そういえば鬼灯くん。またあの世界に行ったんだっけ」
「偶然ですがね。そう何回もは出来ませんよ」
1度あった事は2度あるように。視察で現世に訪れたつもりがいつの間にか彼女のいる世界に出ていたのです
「で、あれから3年寝かせて3日前に食べたの」
「いやそんなカレーを3日間寝かせたみたいに」
「それ俺も思った」
唐瓜さんの鋭いツッコミが助かりますね
私も思ったんですけど正直、新八さんみたいに毎度ツッコミするのは面倒ですしキリがないので
この10倍もするような量のボケを捌いているのかと思うと彼は本当に凄いですね
「しかし何故3日後の今日なのですか?」
あの世の食べ物を口にすればその場で命は落としてしまう
何故3日もかかったのかと疑問に思い、彼女に尋ねた
「食べた途端、三日三晩腹を下したからよ」
「………なるほど」
。
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