大人になったらお嫁にしてね (ページ9)

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8.遠慮ページ9

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すぐ家の近くのコンビニに行くと、すぐ品物を見る。

田舎生まれ田舎育ちな私はコンビニに行くまでに何回周りをキョロキョロと見渡しながら歩いたか分からない。

良平さんは私に「はぐれないように」と手を繋いで歩いていてくれた。

誰かと手を繋ぎながら歩くのなんて、子供の頃以来だろうか。なんだか嬉しくなった。

「俺飲み物のとこ見てるから選んでおいで」

頷くと衣類や日用品のコーナーへと向かう。
そこには色々な物があり、AはMサイズの下着を手に取るとすぐ良平の元へと戻った。

キャミソールとかショーツしかなかったからまた下着屋さんとか行かないとな…

「Aちゃんは何か食べたいものとか飲みたいものある？」

そう言われ、こちらを見つめる。

そりゃあ食べ物だって飲み物だって大好きなものはあるけど、普通ならこんな状況でお願いなんてしないでしょ…

ぐるぐると色々な思いがあった。

「大丈夫です」

控えめにそう言うと、良平の後ろを着いて歩く。

良平にはそれが親鳥の後ろを歩く雛鳥のようで、愛らしく見えた。

レジへ向かい商品の入ったカゴを店員に渡す。

良平さんはお酒が好きらしく、何本か酒の缶とおつまみのようなものがカゴに入っていた。

「おっ、もう肉まん出てんじゃん。まぁもうそろ冬だしな～～」

なんて言いながらレジ打ちをしている店員に「肉まん2つ」と伝えると財布を取り出した。

来た時と同じようにまた手を繋ぐと帰路へと歩き出す。

コンビニの袋は良平さんが持ってくれていて、何度も自分が持つと言ったが断られた。

「いやぁ、思ったより買っちゃったなぁ…」

笑顔を浮かべ、「はい！」と言いながら先程買った肉まんを一つ手渡してくる。

「いいんですか…？」

「Aちゃんが食べてくれなかったら俺、一人で食べることになるしさみしーよ？」

にやっと笑いながら言うと、肉まんを頬張る。
それを見たAも肉まんを口に運んだ。

良平さんの言うことに逆らえない。
何か魔法がかけられてるみたいな、でも威圧的なものでもない、優しい言葉の魔法。

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手を繋ぎ、外に出た時と同様周りを見ながら肉まんを食べる彼女に思わず頬が緩んだ。

今日初めて出会ったのに、何か物を買い与えてしまっては逆に警戒されてしまうだろうか。

そう思ったが、そんなことはなかったようだ。

いつか、この子が自分から「欲しい」と言ってくれるようになるように

これから親しくなろうと心に決めた良平だった。