Case1-4 ページ5
私は青血さんと笠井さんを呼んだ。その際に誠七郎、つまり青血さんの恋人も連れてくるように言った。
たしかに3人は集まってきた。首元でヘッドフォンが揺れる。
「誠七郎もずいぶん金を持ってる家の人みたいだね……エリートだからって浮気しないでね」
「しないし貴方とも付き合ってない。さっさとそっちの仕事をして」
じっとりと言う彼に私が言い返すと、笠井さんが不思議そうに首を傾けた。もしも「誰と話してるの？」と言われたら面倒だ、咳払いしてごまかす。
「青血さんを陥れようとしたポスター、誰が貼ったのかわかったわ」
「本当！？」
3人の声が揃った。全員、私に向かって前のめりになる。青血さんが言った。
「やっぱり笠井さんなのかしら！？」
笠井さんは悲しそうに目を伏せる。青血さん以外の生徒にも悪者扱いされて、彼女は参ってしまっているようだ。
「私じゃないよ……」
「青血さん、私が尋ねた時に貴方はこう答えたわ。個人で出場した大会で失敗をしてしまい、それをポスターに書かれたと」
彼女はまた恥ずかしさがぶり返したのか、腕を組んでそっぽを向きながら頷いた。一応返事はちゃんとしてくれるのが、育ちの良さと言ったところか。
笠井さんは「そんなことがあったのか」と言うように口を開けていた。誠七郎は目を細めて青血さんを見ている。
「ねぇ青血さん。 個人で出場した大会のことを笠井さんが知っているのはおかしくないかしら？貴方は学校でこの失敗について他の生徒に話した？」
ハッとして彼女は顔を上げた。
「いいえ、いいえ！大会を見にきていたお父様達しか知らないはずよ。たしかに、何も知らないはずの笠井さんに、私が鼻血を出してしまったことは書けない」
「そ、そんなことが……大変だったんだね青血さん」
笠井さんが青血さんを気にかけて心配そうな目をする。
「ああ、彼女はテニスの大会で失態をしてしまってね……僕達はそんなこと気にしないから、元気を出してくれ」
誠七郎と笠井さんのおかげで、青血さんは少し落ち着いてきたらしい。胸に手を当てて、慰めてくれる2人の方を見ていた。
……まるで一件落着みたいな雰囲気を出さないで欲しい。私を眉をひそめて話を続ける。
「これは笠井さんの無実を示すだけじゃない。真犯人を追い詰める根拠になるわ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「ヤンデレ」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：バニー芳一 | 作成日時：2023年8月28日 13時
