Case4-2 ページ25
「ニノマエ……1、トウドウのトウが10？ ひゃく、せん、万さんはそのまま」
「名前が色に関係して、苗字が数字に関係する人達が学校に来なくなっている。偶然だがな」
先生は名簿を机の引き出しにしまう。
「共通点があったせいか、ほかの先生たちは彼らを『問題数児』と呼んでいる。問題児と数字をかけているつもりらしいが、先生はそういうのよくないと思う！」
学校に来れない人にだって、理由があるはずだろうに。それに不登校ではなく行方不明の万さんも含めて問題児扱いなんて、案外教師にも希望がない。
「生徒ではなく"探偵"として調査を頼みたい——頼むA」
すると先生は彼自身の膝に手を置き、深く頭を下げた。
「先生、顔あげてください」
「万を助けてくれないか。先生にはできないことだらけでふがいないが、どうしても生徒が心配なのだ……」
「周りの先生が凄い顔して見てます」
眉間に皺を寄せる音楽教師、猫のフレーメン反応みたいな顔をしている国語教師。私とて周囲の目は気にする。
「ぬっ！？」
転保先生は赤くなって大きな体を縮こまらせた。天然で抜けているところがあるし、熱血すぎてうっとおしい人だ。でも、生徒思いなのは伝わってくる。
私は表情筋をキュッと引き締め、真面目な顔で先生を見つめた。
「その依頼、受けます」
職員室から出てから再び彼に通話をかけた。
「ワトソン、仕事よ」
「Aのためならエンヤコラ……って、まさか転保先生の呼び出しって依頼？」
私の返事に、助手が小さく「マジか」と呟いたのが聞こえた。気持ちはわかる。私が概要を伝えると、電話の向こうで彼は静かになった。真面目に考えているのだろうか？ひとまず要点は伝えたので、今度は用件を伝えよう。
「ひとまず、万花葉のプロフィールとSNS上での動向を調べて。学校外の人間と付き合いがあるみたいだから」
「任せて。今回の推理も期待してるから！」
意気揚々と返事した彼に安心して通話を切る。ここからは私が"足"で情報を得なければ。
まず向かったのは万さんの教室だ。転保先生いわく、2人の生徒が普段から彼女と仲が良いらしい。まずはそこから洗ってみよう。
先生から貰ったメモの、万花葉さんの席の近く。2人の少女が何やら談笑していた。
「あなた達、万花葉という生徒の友人よね？私は探偵よ。彼女の最近の動向について教えて」
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作者名：バニー芳一 | 作成日時：2023年8月28日 13時
