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Case3-5 ページ19

「お化け屋敷の休憩部屋は、遊園地の外壁と面してる。それで、行ける場所はチュロス屋だけ。他には外部から行ける部屋がない」

 バニバニランドの園内マップを開く。たしかにお化け屋敷は園内でも外側に位置しているが、チュロス屋はほぼ中央に位置している

「ここも外部からは入れなさそうだけれど?」

 男がおずおずと言い出す。

「チュロスの搬入をしている台車があるんだ。その搬入経路が、お化け屋敷の休憩部屋付近にあるんだ」

 そういえば大きな台車があったのを見た。コンテナ型だから、中に成人男性1人くらいなら入れるだろう。


 つまり、こういうことだ。カッパの男は特殊メイクを落とした後、私服に着替えてお化け屋敷のスタッフルームを脱出した。おそらく窓などから。

 脱出した付近に台車があったので、それに入り込んでチュロス屋まで来たのだろう。

 感心して私は頷く。

「よく台車について知っていたわね」

「昨日の夜、ここについて調べていたら過去に台車に入ってるバカッター動画が見つかって……あ、バカッターっていうのはバイトテロのことで、えっと、それで入れそうだからそれで」

「わかったから」

 私にそう言われると、彼はなんとも言えない曖昧な返事をした後、「役に立った?」と執拗に聞いてきた。さて、ここからどうしたものか。


 残っている問題は2つある。

 このチュロス屋にいる犯人はどの店員なのか。

 そして、犯人が園外に逃げず、チュロス屋に来た理由は何か。



 この2つを必ず暴かなくてはならない。


 私は、事件を伝えにきたお化け屋敷のスタッフに話しかけた。

「犯人について詳しく教えてくれる?」

 男はあたふたして、ポケットからメモ帳を出す。メモの端を所在なさげに折ったり擦ったりしているため、かなりぐちゃぐちゃになっていた。

「あの人は日雇いスタッフなんだ。だからきちんとした素性とかは誰も知らなくて……ああでも、仲のいい女性がいたかな。多分付き合ってるんだと思う」

「じゃあ、チュロス屋の店員については?」

「え、俺管轄外だからあまり知らないんだけど……」

 私がじっとりと半目で見ると、スタッフは目を泳がせてから咳払いした。

「1シフトを3人で回しているはずだよ。代車を回収する役、会計役、チュロスをお客様にお渡しする役」

 なるほど。それだけで十分だ。

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作者名:バニー芳一 | 作成日時:2023年8月28日 13時

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