【HP短編集】ごちゃまぜ (ページ42)

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｢……ぼく、レギュがいないと、やっぱりダメなんだ｣

眠ってしまったAの髪を撫でる。眠る前に彼が言った言葉をゆっくり噛んで飲み込もうとした。

｢僕も、Aがいないとダメなんだけどな｣

Aがいると視線で追う
心配で心配でたまらないし、あの人の配下になった僕を嫌いになったんじゃないかと心配にもなる。

｢嫌いにならないでなんてワガママだよね｣

自虐的に笑うと目の下にクマがあるAを見つめる。
ブルートパーズのような瞳は、彼が沈んでいてもなお美しかった。
でも、一年と何ヶ月か会話しなかったせいか彼は以前より細くなっている気がする。前はもっと、健康的だったのに

｢そばに居るよ｣

眠る彼の額にキスをして、静かに息を吐いた

＊

｢僕は、僕は君と同じようにはならない！！！｣

Aはそう叫ぶと部屋を出ていった。

アレン・“ギデオン”・ホワイトが死喰い人になったと知らされ、言われたんだ『A・“アルジャーノン”・ホワイトをこちら側に率いれろ』と
カフェに誘うみたいな感じで安易に誘ったわけじゃない。
六年の時から、現在七年に至るまでに外堀を徐々に埋めていたつもりだった。けど彼はそれよりも固い意思があった

｢君は知らないんだろ、あいつらがどんな非道な奴らか｣

｢非道？｣

｢…ッ僕の兄は、エリス・“レイモンド”・ホワイトは父が殺した。レイモンドが闇祓いになろうとしている事に気付いたから…！
君もレイモンドと仲が良かったはずだろ？！レイモンドを、実の家族を殺したんだぞ！
僕の、目の前で！家のリビングでだ！！！｣

｢レイモンドを…｣

｢僕はギデオンが死喰い人になろうと、両親が死喰い人になろうと、大切な君が死喰い人になろうと、君と決別したとしても僕は外道に堕ちたりしない！
家族をいとも簡単に殺すような奴には！｣

｢僕は、僕は君と同じようにはならない！！！｣

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