【HP短編集】ごちゃまぜ (ページ25)

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屋根の上：リーマスページ25

男性主人公オチはない
自ら死のうとするリーマスがいる
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｢死んだ人が失うのは魂だけだけど残された人は心も時間もなにもかもを失うんだって｣
｢え、｣
｢俺の先輩が言ってた。｣

天文台の柵を乗り越えようとしたら、近くの屋根の上に男子生徒が座っていた
ローブもネクタイもなくてどの寮の生徒か分からない

｢だから死ぬなとは言わないんだけどさ｣
｢屋根の上危ないよ｣
｢それいま柵超えて死のうとした人が言う？｣
｢あ、確かに…｣
｢君天然なの？｣

爽やかに笑った彼は綺麗だった
髪が風に吹かれて揺れている

｢えっと…｣
｢死んだらたしかに楽だよ。でも…｣
｢でも？｣
｢…いや、うーん、俺頭悪いし特別な経験もないから上手く言えないや
でも君が死ぬのは嫌だな｣
｢見知らぬ人に言われても｣
｢僕はA・リヴィングストン！これで見知らぬ人じゃないね｣

彼は明るく笑ってから少し顔を階段のある方に向けると残念そうに眉を下げた。

｢俺行かなきゃ｣
｢どこに？｣
｢ホグワーツのどこか｣

Aは優しく目細めて笑った。

｢俺のことはダンブルドアが知ってるよ｣

｢リーマス・ルーピン｣

そう声をかけられて振り返るとダンブルドア先生が後ろで手を組んで微笑んでいる

｢ここは立ち入り禁止のはずじゃが｣
｢あ、えとすみません。一人で、その、色々と考えたい事があって…｣
｢ふむ、それは良い事じゃな
それでいったい誰と話してたのかね｣
｢えっと、彼と…｣

視線をあげるとそこには誰もいなかった。
揺れる髪と日に照らされて透けて輝く瞳は覚えているのにさっきまで話していた記憶の中の彼は何故か朧気だ

｢…もうすぐ夕食の時間じゃ急がねばならん｣
｢そう、ですね｣

｢あ、あの！先生！｣
｢うむ、なんじゃ｣
｢A・リヴィングストンって、誰ですか｣
｢…｣

ダンブルドア先生は遠い景色を見ながら何度か髭を撫でつけた

｢Aは、とても優秀な生徒じゃった
成績優秀でクディッチの腕もよく、誰からも好かれる明るく優しい優秀な生徒じゃ
じゃが、卒業目前に自ら命を絶った
後から家庭環境が原因だと知っての
わしらは彼の異変に気づけんままじゃった｣

｢そう、なんですね…｣

｢彼がどうかしたのかね？｣

｢…話したんです。彼と｣

｢元気じゃったか？｣

｢はい。良い人でした。｣

ダンブルドアは嬉しそうにそうか、と頷いた

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