【HP短編集】ごちゃまぜ (ページ16)

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人のいない教室の机にカバンを強く投げ捨てて椅子に座る。そこに着く頃には手はさっきより強く傷んでいた。

それに魔法をかけてある程度治す。左利きでよかった

あぁ、それよりもだ

人の多い中庭で騒ぎの真ん中で、自分が色盲だと言ってしまった。
今まで色盲だと告げるとみんな微妙な顔をして俺を遠巻きにしてきた。だからバレたくなかったのにあんな奴らの前で言ってしまった。手が痛くて早く切り上げたくてつい余計なことを

喉が詰まり、呼吸が苦しい。
あぁ、マグルに住んでいた時のやつらみたいに笑うんだろうか
色つきの眼鏡をしてるだけでバカにして遠巻きにされるのにいじめられてる上に色盲だと知られた。知られたくなかった。絶対に

リリー・エバンズは二人だけの時に色盲かと聞いてきて、怪訝な顔をしたのに味方になると言ってくれたのだ。正直とても嬉しかった。でもそれがダメだったのか彼女が俺に話しかける度にポッターからのヘイトが溜まっていたらしい。
彼女は悪くないが、こんな事になるなら関わりたくなかった。

｢はぁ、｣

手が痛む。右手の手のひらをぎゅっと握りしめた
今日はもう授業に出たくない
今日の最後の授業だったけど次はグリフィンドールと合同だから

｢ホグワーツなんて来るんじゃなかった｣

＊

授業に行くと同じ選択のはずのA・ホークショーは教室に現れなかった。
さっき起こした中庭でことが浮かんだ

＿＿＿『僕は色盲だよ』

苦しげに寄った眉、悲しげに揺れた赤黒い目が授業中チラついた
彼は顔が整っているけどいつも付けてるあの色がついた眼鏡が気に食わなかった。
でもそれが理由じゃない。リリーと仲良さそうに隣合って歩くし、スニベリーと図書館の奥で同じ本を覗き込みながら話しているのを見て闇の魔術が好きなのかと思った

ハッフルパフの王子。ゆっくりとしていておおらか
優しくて敵は僕達しかいないけど誰も彼を助けようとはしない

教室を出て一人で歩いてると人気(ひとけ)のない教室に人影があった。
窓のふちに腰掛けている黄色いローブとネクタイの男子生徒

さらさらと流れた金髪と黒髪が混じりあった髪。光が当たって金色に見える

窓の外をぼんやりと見つめる横顔には涙が流れていた。
白い肌に水滴が落ちていく
ぼろぼろと流れる涙に罪悪感が沸いてくる。

僕は一人で教室に足を踏み入れた

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