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「だから、ここをこうして…」
「…こう?」
「違う。逆だ逆。」
Aは元々不器用であるから一から丁寧に教えてやらないといけない。
お世辞にも飲み込みも早いわけじゃないからゆっくりゆっくり、何度も何度も教えてやる必要がある。
でも、俺はAに折り紙を教える時間が好きだ。
単純だと思われるかもしれないけれど、Aの隣に無条件にいて良いから。
そしてAのその雪のように白い指に触れることが許されるから。
これが惚れた弱み。皮肉にも、Aが不器用で良かったと思ってしまう。
「こうするの?」
「ああ。それでここを…」
Aの長い髪が机上に散らばっている姿がとても艶めかしくて、幼いながらに触れたいと思った。
本当に同じ歳だとは思えないほど、Aは大人びた容姿をしている。きっとそれは顔が恐ろしいくらいに整っているから。
世界中の美しいものをぎゅっと凝縮させたような、それでいて何処にも引っ掛かりのないような美しさ。
そしてふとした瞬間に見せるあどけなさや、甘えてきた時の愛らしい少女の姿は年相応のもの。そこにまた心が鷲掴みにされる。
「…有一郎?私に何かついてる?」
Aが不思議そうに無一郎の顔を覗き込んだ。
きらり。淡い光を宿した勿忘草の瞳と視線が絡み合う。絡み合った視線が段々と熱を帯びていくのがわかった。
「…いや。何でもない。」
そう言ってAのことを何とか誤魔化した。
本当ー?とAはしつこく迫ってきたが本当だ、と話を切上げる他なかった。
いつからだろう。こんなに彼女に恋焦がれてしまったのは。
俺は一昔前の記憶を遡った。
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白霞(プロフ) - ゆっくり四つ葉さん» コメントありがとうございます。お返事遅くなってしまい申し訳ありません。複数回読んで頂けたのですね…!感謝の限りでございます。そんな風に言ってくださりありがとうございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年9月15日 7時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくり四つ葉 - 何回でも見に来て涙腺崩壊させられてます。しかも作者様一人一人に返信までしてくださっていて…!作者様の良い人が滲み出ている…なんというか、はい、土下座したいくらい素晴らしい作品でした。このお話、ずっとずっと語り継がれていたらいいなぁ… (2020年9月2日 22時) (レス) id: 135b7cf6d1 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - シバさん» コメントありがとうございます。そのように言って頂けて光栄の極みでございます。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月30日 21時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
シバ - あれ……………目の前がぼやけてきたぞ…… (2020年8月30日 11時) (レス) id: 344258cf85 (このIDを非表示/違反報告)
白霞(プロフ) - かりんさん» コメントありがとうございます。そのように言って頂けて感謝の限りです。最後まで閲覧頂きありがとうございました! (2020年8月21日 0時) (レス) id: 7828c1c33e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白霞 | 作成日時:2020年6月20日 20時