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一見、傍から見れば仲の良さそうなメンバー同士。
でも実際には全くそんなことなどない。
撮影が一通り終わり、伊野尾ちゃんと二人並んで楽屋への廊下を歩く。
会話は一切無し。
そう、俺等は嫌いの両想いなのだ。
お互いがお互いのことを嫌いだということを知っている。
俺が先に楽屋のドアを開ければ伊野尾ちゃんも後から続いて入ってくる。
ソファーにどすんと腰掛け、向かい側のソファーに座る彼を睨みつける。
「 これからはあんなことしなくていいから 」
出来るだけ彼には近付きたくないし、近付かれたくない。
「 あんなことって?」
とぼける様な彼の口調に更にイラつきが増す。
俺にチラッと視線を向け、あからさまに吐いた溜め息にも気付いている。
「 だから、ゴミが付いてたんなら取らずに口で言えってことだよ。必要以上に俺に触んな 」
今はスタッフさんたちもいないし、仲良しごっこなんてしなくていい。
楽屋の空気はピンと張り詰めている。
「 少しぐらい感謝しろっつーの、まあ俺も触りたくねぇし もうしねぇよ 」
彼に触りたくないと言われるのはうちのグループ内でも俺だけだ。
伊野尾ちゃんは普段からメンバーとの距離感が近い方で、メンバーも俺以外はそれを嫌がっていない。
そして、その誰にでも媚を売る様な態度にも少なからず俺はイラついていた。
お互いが嫌いだということを隠さない関係というのは俺にとって少し心地良いものでもあった
他のメンバーも知っていたし、気を使うことがなかったからだ。
ガタッと音を立て、伊野尾ちゃんが立ち上がる
彼の手にはバックが握られていて。
「 じゃあ俺帰るから 」
一応帰る時には声をかけてくれるんだと思いつつも、はいはいと冷たくあしらう。
ドアに伊野尾ちゃんが手をかけたところで あ、と振り返る。
「 そうだ、今度のいたじゃんの撮影の後メンバーとスタッフさんたちで親睦深めるために飲み会するって。だから予定空けといてってマネージャーが言ってたから 」
彼は用件だけ告げて、俺の返事も待たずに出ていってしまう。
せめて返事ぐらい聞けっつーの。
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かすたーどばにら(プロフ) - 翠さん» コメントありがとうございます!まさか大好きな作者様の翠さんからコメントもらえるなんて思ってもみなかったのでとても嬉しいです...!はやくすれ違ってるふたりをくっつけたくて日々頑張ってます(笑)更新頑張ります!! (2018年8月14日 0時) (レス) id: 830b7600a3 (このIDを非表示/違反報告)
翠(プロフ) - コメント失礼します!!!とても好きです!このすれ違い具合がたまらなく愛おしいです...!これからも更新楽しみにしてます!! (2018年8月13日 14時) (レス) id: a6b1b35491 (このIDを非表示/違反報告)
かすたーどばにら(プロフ) - ひとみさん» そう言っていただけてめちゃくちゃ嬉しいです!なるべくたくさん更新できるように頑張りますね!これからも頑張るので応援お願いします!(笑) (2018年8月11日 10時) (レス) id: 830b7600a3 (このIDを非表示/違反報告)
かすたーどばにら(プロフ) - Vさん» 返信遅くなってしまってすみません!いつも読んでくださりありがとうございます!私も書いてて楽しいです(笑)完結できるように頑張りますね! (2018年8月11日 9時) (レス) id: 830b7600a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - この作品大好きで、更新を楽しみにしてます!! 続きが早く読みたくってウズウズしてます(笑) (2018年8月10日 8時) (レス) id: c0bd1ad421 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かすたーどばにら | 作成日時:2018年3月16日 22時