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私の最新の記憶は
頭が痛いと言って店を出たあたりだった。

隆二と別れて

ええと、それから?



どうして私は
登坂に抱き締められているんだろう。


私が部屋に誘って
人肌が恋しいと言って

まさか

友達の登坂を誘惑したっていうの?





「ご、ごめん!私酔ってて、そんな変な意味は」

「人肌恋しいからって離さなかったのはAでしょ」

「全く覚えてない!でもそうならごめん、本当に」


そう言って慌てて体を離そうとするけど
酔ってるせいなのか

何故か離れない、登坂。




「登坂」

「…Aさ、俺の名前知ってる?」



なに、急に。

もしかして酔っ払い度チェック?



「広臣でしょ。ちゃんとそれくらいわかるよ」

「…じゃあ何で」



ん?


言葉を止めた登坂が何を言いたいのかわからないまま
私はとにかく酔いを冷まそうと考えていると

登坂の体が離れた。



「登坂、あの」

「……マジ、今度から金取るから」

「…ごめん。気を付ける」


良かった、いつもの登坂だ。


いくら健二郎さんのことでやけ酒したからって
飲みすぎたことは反省しないと。




「帰るわ」

「タクシーは?」

「歩くからいい」



何かすごく申し訳ないな。
もう夜中じゃん。




「ね、朝まで泊まってく?」




タクシーを逃したのは私のせい。

せめて朝までと
罪滅ぼしに言った言葉に

登坂は顔をしかめた。




「お前、いつも男にそんなこと言ってんの?」



「いつも…ってそんなわけないでしょ!
今日はほら、私のせいで」


そう言うと
登坂の指が私の鼻をつまんだ。




「ふぐっ」

「やめとけよ。
そういうの、他意がなくても誤解されるから」

「で、でもとさかだし、べつに、ごかいなんて」





そう言うと
登坂は指を私から離し

少し困ったように笑って私を見た。




「バーカ。

…おやすみ。
鍵閉めて寝ろよ」



「あ…」



バタン、と目の前でドアが閉まる。



しまった

私まだありがとう、言えてない。






「登坂!!!」




慌ててドアを開けると

ちょうど登坂は下に降りるエレベーターに乗り込んだところで



「登坂、待って」



かけた言葉は
閉まるドアに遮られ
届かなかった。





記憶にはないけど
迷惑かけたんだ。

今度何かお詫びしなきゃ。



LINEでお礼だけ入れて
私はまだ、ずんと重い頭を抱えながら
お風呂に向かった。




悪いことしたな。

でも

いい友達がいて、私は幸せ者だ。

13→←11−登坂



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じゅん(プロフ) - お久しぶりです。更新ありがとうございます! (2021年7月11日 16時) (レス) id: c029804656 (このIDを非表示/違反報告)
ちはる(プロフ) - もう、お話の続き見れないですか?(*´ω`*)わたし、NEEさんの小説も東京も大好きです(*´∀`) (2020年5月13日 10時) (レス) id: 48e30b0c83 (このIDを非表示/違反報告)
amiryu(プロフ) - NEEさんだー ( ̄□ ̄;)!!!・・好きです(///∇///) (2019年8月25日 0時) (レス) id: 536b1e31eb (このIDを非表示/違反報告)
ぽちこ(プロフ) - NEEさん、お帰りなさい!!またツクールに来るのが楽しみになりました★ (2019年8月24日 20時) (レス) id: 1e1bf63da6 (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - いいですっ!こんな同僚2人私も欲しいです((笑))。しかも私が好きな臣ちゃん。そしてカタオモイには健ちゃん…たまりません!これからも楽しみにしています! (2019年8月19日 20時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:NEE | 作成日時:2019年8月18日 1時

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