愛という名の呪いを【五条悟】肆 (ページ26)

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佰陸拾漆ページ26

伏黒side

唐突な質問に、当の本人たち以外は
頭にはてなを浮かべている。

釘崎「はぁ？いつからって…」

禪院「何か月か前に

悟がAを拾ったんだろ？」

ああ、確かにそうだ。

だが、それがイコール
二人の初めての出会いではない。

あれは、再会だったんだ。

そう考えれば
五条先生のAへの
異常な執着にも納得がいく。

A「あぁ、実は…」

だが、Aが取り戻したばかりの
記憶の中にある思い出を
語ろうとした時

隣に座る五条先生が
Aの肩を抱いて
唇に人差し指を立てた。

まるで、話すなと言わんばかりに。

五条「気になる？

でも、よい子はもう寝る時間だよ。」

子どもをあやすような口調でそう言って
サングラス越しに俺を牽制する。

………確かに、

先生やAからすれば
俺なんてまだまだ十代のガキだ。

だが、そんなガキ相手にも
露骨に敵意や独占欲を出すほど

あの人にとってAは
特別な存在なんだろう。

そして、戸惑うAの手を
強引に引いて立ち去ろうとする。

A「悟…っ？

…っみんな、うどん、美味しかった。

本当にありがとう、おやすみなさい。」

早口で、最低限の挨拶と礼を
必死に伝えるその姿と
記憶の中のAが重なる。

確か、Aが怪我を隠して
訓練に参加していたことが
先生にバレた時も

あんな風に無理やり腕を引かれて
歩いて行ったな。

そして、あの時よりも
二人の距離は縮んでいることが

口調や態度、雰囲気から
鬱陶しいくらいに伝わってくる。

禪院「…ありゃ強敵だなぁ、恵。」

釘崎「そんなんじゃ

近いうちに手遅れになるわよ。」

…んなこと、
改めて言葉にされなくても
分かってる。

だが、俺の好意はともかくとして

あんなにもあからさまな
先生の気持ちにすら
気づいていない奴に

一体どうやってアピールしろってんだ。

いつの間にか、Aへの想いが
その場の全員に知られていることよりも

今の俺にとっては
それが最重要課題だった。