mission 45 ページ45
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室内にシャワーの音が響き渡る。
時々、キュッ、と締まる。
電気の付いていない真っ暗闇に揺蕩う、漏れた光。
窓の外には行儀よく並んだテールランプ。
時折、誰かの口論も聴こえてくる。
131号室に通された俺は、真っ先に薮を風呂へ入れた。
その隙に、汚れていた服を外の店員に預け、替えを貰っていた。
薮には事前に伝えておいたから大丈夫だろう。
設えられたベッドにダイブし、後は薮が出てくるのを待つのみとなった。
この部屋にはベッドと風呂と、その他は使うかも分からない物ばかりが備え付けられている。
便所だって廊下にしかない。
だから自然と、モザイクのかかったドアに映る、細い背中に目がいってしまう。
寝転がりながら横目でもう一度、磨りガラスに映るあいつの背中を見上げる。
細い。
細い腰が、視界に入って、慌てて視線を外す。
……が。
警告音がどこからともなく鳴り出している。
薮に近づいたら駄目なんだと。
それでも引き寄せられるように、気づいたら風呂場の前にいた。
無意識に、薮の後ろ姿に見入っていると、突然風呂場のドアが開き、退くこともできずに対面した。
「あっ……」
分かってる。分かってるよ。
俺は今、きっと顔が赤い。
薮も俺がいてビックリしたのか、一瞬肩を揺らしたし。
俺だって、まさかなんの予兆もなくいきなり風呂から出てくるとは思ってなかったよ。
いや、てか思っててここにいたんならそれこそ変態チックな高校生になるよな。
え、俺もしかして誤解されてる？←
怖すぎて薮の顔見れない。
でもこのまま下向くのもそれはそれで……苦笑。←
「……退いて、ほしいんだけど」
「あっ、ごめんっ」
薮の迷惑そうな声に我に帰って、すぐに部屋の隅へと移動した。
……今の反応、なんとも思ってなかったってことなのかな。
それもそうだよな。
薮だってこういう仕事してんだから。
一人の客として見れなくもない、よな。
「どうしてそんな端に寄ってんの」
「えっ、いや……それ、は」
「免疫ないんだろ」
「は？」
「その年齢じゃ女とやったりしないもんな。ましてや男なんて、以ての外、だもんな？」
それはなに？
俺を嗤ってる？それとも、なにかしてほしい？
……いや。薮はただ、子供の俺を揶揄ってるだけ。
「だから、なんだよ」
文句あんのかよ、って、もう一言くらい付け加えようとした、刹那＿＿
「俺が教えてやろうか？」
既に、視界は薮だけだった。
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作者名：柊 | 作成日時：2018年10月12日 19時
