mission 13 ページ13
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「有岡……八乙女、遅れるなんて珍しいな。寝坊か？」
薮宏太、教卓の前で真顔のお叱り。
「俺は悪くないですから！光くんが背中に飛び乗ってきて、学校まで行けとか言うから……」
有岡大貴、必死の弁解。
「まぁ、珍しく今日は寝坊してこなかったし、俺の所為ってことで」
俺、八乙女光、大ちゃんの罪を被る。←
「光くんなに言ってるの！？俺は悪くないからね？仕方ないから責任負いますみたいな態度で話したら俺が悪者になっちゃうじゃん！」
「いつもの遅刻がいけない」
「先生まで！」
ガハガハ顎が外れそうなくらい口を開けて大笑いをする男子。
それにつられて女子も笑いだした。
クラス全体が和んでいつもより遅い朝礼が始まった。
ふと、薮と目が合い昨日のことを思い出す。
そういえばあの時間から営業だなんて、教師という仕事に支障を来さないのだろうか。
去り際に薮が俺を呼んだ。
廊下に出ると風が通って、薮の前髪が靡いた。
「三者面談の紙出してないのお前だけだぞ。明日までだから、必ず持ってくるように」
「……」
「返事は？」
不安だから聞きたいことがあったけれど、そっちはもう少し独自で調べてみたい気持ちが勝った。
「保護者って、実の親じゃなくてもいいんだよな」
「ん？まぁな。それより敬──」
「せんせ。………どこかでお会いしました？」
息を呑む音がした。
隠すの下手だな、と顔色を変えることのない薮に思った。
「会ったかもね。それがどうした？」
優しい顔という言葉があるけれど、それはこんな顔だと表しているように見えた。
ふにゃりと笑った薮を見て、あれはやっぱり薮だったのだと嬉しかった。
「いえ。伝言伝わったんだなぁって思って」
「何言ってんだ？」
分かってるよ。バラしませんから。
「それだけです。紙は明日持ってきます」
薮の笑顔をこの学校で初めて見たんじゃないかって、半ば優越感に浸っている自分がいた。
「光くん。顔キモいよ」
「そ？」
「なんか企んでない？」
「そりゃもうドンとデカイのを」
「ドッキリは止めてよ？光くんの極端なんだもん」
俺が大ちゃんにしたドッキリと言えば
俺が一日中無視したり
はたまた
大ちゃん家にこっそりお邪魔して、布団の中に大量の、ガーガー鳴る黄色いアヒルのおもちゃを入れたり。
手の凝った事もあって、仕掛けてるこっちのが楽しかったのを覚えてる。
「またやるね」
「ちょっと！」
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作者名：柊 | 作成日時：2018年10月12日 19時
