mission 43 ページ43
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あれから反論はしたものの、見事に躱されて深夜１時。
「また来ちまった……」
無意識に外出範囲を狭めてる気がするな。
もう諦めようか。
自制なんてできないだろうから。
「なんで、ここに来たんだっけ」
えーと確か、薮の弱味を握ってやろう、って意地張ってたんだっけ？
「下らねぇ。マジで下らねぇ」
自分の思考に嫌気が差してくる。
薮のことでこっちに来んなっ！ての。←
「やっほ、光くん」
今日はサングラスを掛けた高木のお出ましだ。
全身黒に包まれたそいつ。
今日も仕事は休みだそうで一人ぶらぶらと歩いていた。
「高木なにしてんの」
「別に？暇だから歩いてただけ」
「薮は？」
「三樹矢なら、……きっとまだ店だな」
そんなに三樹矢に会いたいの？
くいっ、と口の片端を上げ、だから来たんだぁ、と憎まれ口を叩いた。
俺を嘲笑ってさえいるようだ。
「最近どう？元気？」
「元気じゃなかったら、なんなの」
「なにその遠回しな言い方。んまぁ、捻くれてる奴は嫌いじゃないよ」
「結局どういうこと」
分からなくていいよ。まだ早い。
反抗期を嗤ってんだか、俺が来たことに文句があんだか。
高木ってなんだかんだ言って全然読めねぇ。
「三樹矢が最近、光くんのことをよく口にするようになったよ。……どうしてだろうね」
気をつけて、なんて言い残して後ろ向きで手を振りながら駅に向かっていった。
「気障だなぁ……」
ホストって皆あんなもんなのかな。
だとしたら薮も嫌いだ。
「ってか、つまんねぇ……」
最近こればっかりだ。
屋上でも、大ちゃんの前でも、伊野ちゃんの隣でもこう呟いている。
俺の口癖なのかな、これ。
「なーんか、おもしれぇことねぇかな」
何度も来すぎたこの街には、知らない景色などとうになくなっていた。
当然面白いことなんてあるはずもなく、ウロウロしながら２時を迎えてしまった。
「んっ……、ちょ、やっ」
ネオンの光も乏しくなってきた。
街の深くまで来すぎたかもしれない。
……って待て待て。
これって、未成年が聞いていいやつ？
普通にスルーしようとしたけれど、見てみたい、とも思ったりして。
「ちょっとなら、……な」
これを見たら帰ろう。
帰る契機作りの為、自分の好奇心に従った。
声のする方に歩いていけば、徐々に近くなってきた呼吸音。
俺の心拍も、大きくなっていった。
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作者名：柊 | 作成日時：2018年10月12日 19時
