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オスマンさんと鬱先生、チーノさんは何を考えているのかよくわからない笑みを浮かべ、しんぺい神さんに至っては寧ろゾムさんの言葉にうんうんと頷いている始末だ。
四面楚歌、という言葉がちらりと頭を掠めた。
「えー……食うの嫌いなん？」
「嫌いというか……生きるのには必要、というか」
「楽しくはないんかあ」
曖昧に微笑んで誤魔化すと、ゾムさんの表情が渋さを増す。仕方ないと思うのだ、今世でお腹いっぱい好きな物を食べた経験なんて片手で数えられるかといった程度だし、何ならその一回は今日だ。
幹部の中に混ざっているという緊張から余計に空腹感を感じないし、行儀に気を使うことで精一杯であまり味わう余裕もなかった。勿論それでも美味しかったのだけれど。
「ちなみにだけど、これまでご飯どうしてたの？」
「一日一回、パン一個で十分だと」
しんぺい神さんの言葉に答えを返そうとした途端、低い声が割り込んだ。内心勘弁してくれと思いながら視線をやった先のグルッペンさんもまたこちらを見ていて、それは美しく笑ってみせる。
「それではいかんだろう、なあ、しんぺい神」
「当然」
「でもAはな、俺たちと食卓を囲むのが嫌だと言うんだ」
「え」
そうじゃない、と反論する間もなくグルッペンさんはまた口を開く。
「俺もトン氏もしんぺい神も、ゾムもこうして心配しているわけだし、昼は仕事があるから仕方ないとはいえ、朝と夜くらいは一緒にしたいと思うんだがなあ」
「あの、総統閣下、失礼ながら些か語弊が」
「お、そうか？ 悪いな、俺にはそう聞こえたんだが」
「……Aちゃん、詳しく聞かせてもらってもいい？」
やられた。
これじゃあどう説明したって説得される未来しか見えない、けれどあのまま言わせておけば心象が悪くなるのは確実。
この人、本当に性格が悪い。
「……嫌な訳ではありませんが、幹部でもない身で皆様の輪に加えていただくなど畏れ多いですし……先程ゾム様に武器を向けてしまいました、そのようなことが今後起きないと、皆様に怪我をさせてしまうことなどないとは、どうしても言いきれません」
仕方なく総統室で紡いだ言葉を思い返しながら口にすると、しんぺい神さんに頬をつつかれる。
「ここ内ゲバだらけなんだからさ、今更誰も気にしないよ」
「……ですが、」
「俺らはそんなに弱ないで、A」
シャオロンさんがにっと笑い、コネシマさんもうんうんと頷く。鬱先生とエーミールさんは顔を見合わせて苦笑いした。
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陽乃(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます、黒猫様の御趣味に添えられたようで嬉しい限りです。続編ものんびり書いておりますので、楽しんでいただければ幸いです。 (2020年5月29日 16時) (
レス) id: 89afdb7f98 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 全て見させていただきました。俺はこういう作品が好きなので、とてもいい気持ちになりながら見ていました。神作品をありがとうございます。 (2020年5月21日 10時) (レス) id: 0779f5a88d (このIDを非表示/違反報告)
陽乃(プロフ) - （名前）さん» コメントありがとうございます。建物の設定は実在する基地や城塞、そして仰る通り大脱走など御本人たちの動画を参考にした部分もありますね。気づいてくださって嬉しいです。 (2020年4月12日 21時) (レス) id: 4760b364cd (このIDを非表示/違反報告)
（名前） - 9の途中まで見ました〜なんかPX、商店、、かな？みた途端、大脱走元にしてるんかなって思ったーーー！！実際どうですか？本当に大脱出が元だったら、、違うくても、話の作り方、うますぎる… (2020年4月12日 19時) (レス) id: ca685f05f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽乃(プロフ) - 黒胡椒さん» コメントありがとうございます、のんびり更新していきますのでよければお付き合いください。 (2020年4月4日 3時) (レス) id: 4760b364cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽乃 | 作成日時：2020年3月16日 17時
