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「幹部で料理出来る奴はわりと少なくてな、大先生とゾムとひとらんらんが上手くて、俺とショッピくんはそこそこ、シッマとシャオロンは台所に立たせたらあかんねん」
「そういえば、昨日の夕飯はひとらんらんさんがお作りになったんでしたね」
「おん、ひとらんは故郷がだいぶ遠いからなあ、向こうの料理はびっくりするもんばっかりやわ」
彼の出身は極東、前世で言う日本だ。恐らく文化的に一番親しみを持てるのは彼だろうな、と思いながらトントンさんを見つめる。
「……そういや、俺らは大体二十前半から三十路やねんけど、Aさんって幾つ？」
「……詳しくはわからないんですが、多分二十歳にはならないくらいかと」
クーデターが起きた頃は、恐らく十歳手前だった。初めて人を殺したのはそれから四年程で、本格的に暗殺の道に入ったのはさらに二年が経った頃。
「え、じゃあ一番年下なんか」
「そうなんですか？」
兄さんとしんぺい神が三十一、グルさんとエミさんが二十九、俺とオスマンが二十七、大先生とシッマとシャオロン、ロボロ、ひとらんらんが二十六で、チーノとゾムが二十五、ショッピくんが二十三。
指折り数える彼に、それなら確かに私が一番年下だと納得する。
「……下手したら事案やな」
「事案」
「大先生とかほんま見境なく女に手出すから、Aさんも気をつけるんやで？ 何かあったら即牢屋やわ」
「私なんかに鬱様の御相手は務まりませんから」
「まあ、確かに大先生には勿体ないな」
だからなんで、この人はこんなにも優しく接してくるんだ。
甘酸っぱい蜜柑をこくりと飲み下して、紅茶を口に含むトントンさんに向かってそっと口を開く。
「トントン様」
「うん？」
「私の方が年下でしょうし、階級も下ですから、呼び捨てにしてくださって構いませんよ」
「あ、ええん？」
「はい、そちらの方が慣れていますし」
「じゃあお言葉に甘えよかな、Aもわざわざ様付けしたり謙ったりせんと、もうちょい気軽に接してくれてええねんで？」
「いえそんな、畏れ多いです」
あくまで彼らが上で、私が下だ。それを忘れない為に呼び捨てにしてもらおうと思ったのに、それでは本末転倒じゃないか。
軽く微笑んで流せば、トントンさんは蜜柑を口に放り込んで少し思案した。そして、咀嚼したそれをごくりと飲み下してからふと顔を上げる。
「そしたら、幹部になったら、にしよか」
「え」
「任務達成したらもう地位は変わらんからな、フランクになってもええやろ」
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陽乃(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます、黒猫様の御趣味に添えられたようで嬉しい限りです。続編ものんびり書いておりますので、楽しんでいただければ幸いです。 (2020年5月29日 16時) (
レス) id: 89afdb7f98 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 全て見させていただきました。俺はこういう作品が好きなので、とてもいい気持ちになりながら見ていました。神作品をありがとうございます。 (2020年5月21日 10時) (レス) id: 0779f5a88d (このIDを非表示/違反報告)
陽乃(プロフ) - （名前）さん» コメントありがとうございます。建物の設定は実在する基地や城塞、そして仰る通り大脱走など御本人たちの動画を参考にした部分もありますね。気づいてくださって嬉しいです。 (2020年4月12日 21時) (レス) id: 4760b364cd (このIDを非表示/違反報告)
（名前） - 9の途中まで見ました〜なんかPX、商店、、かな？みた途端、大脱走元にしてるんかなって思ったーーー！！実際どうですか？本当に大脱出が元だったら、、違うくても、話の作り方、うますぎる… (2020年4月12日 19時) (レス) id: ca685f05f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽乃(プロフ) - 黒胡椒さん» コメントありがとうございます、のんびり更新していきますのでよければお付き合いください。 (2020年4月4日 3時) (レス) id: 4760b364cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽乃 | 作成日時：2020年3月16日 17時
