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＊暴力表現があります
ある日、私の暮らす小さな家に、数人の男が上がり込んできた。当時の私はわからなかったが、彼らは所謂人攫いで、使用人や愛玩道具として売られる予定だったのだと思う。
その内の一人が、何故だか知らないが、いたく私を気に入ったのだ。
とはいえ当然良い意味ではなく、仕事で溜まったストレスをぶつけるための道具として。蹴られ殴られ唾を吐かれ、知らない言葉で怒鳴り散らされ、時に欲の対象にされることもあった。ちなみに彼らの拠点がα国にあったので、私は以後数年間国外へ出られなくなる。
それが覆ったのは、最低限のお金を持たされて買い物に出た日のことだ。通りすがった裏路地で、細身の青年が、彼より幾分か背の高い男性を地面に引き倒し、その身に刃物を刺していた。両腕、太腿、足首、腹部。抵抗しようにも出来なくなった男を見下ろした彼は、腹部、首筋、そして最後に心臓へと的確に刃を突き立て、ふとこちらを振り返った。
血に塗れた紫のストールを身につけた彼は、刃物を捨てるとこちらに近寄ってきた。何をするわけでもなく彼を見上げると、彼はポケットから出した綺麗なハンカチで手を拭ってから、そっと私の頬に触れた。
「妙な所見せてしまってすまんな、……今見たこと、誰にも内緒にしてくれるか？」
「……じゃあ、一つ教えてください」
「うん？」
「あなたみたいな大人の男の人が三人いるとして、私はどうやったら彼らを殺せますか」
眼鏡の奥で、切れ長の目を見開いて。彼は少しだけ悲しそうな顔で笑って、私の頭を撫でた。
その日の食事に、私は彼に貰った毒を混ぜた。
呼吸を止めた三人の持ち物からお金や刃物、拳銃を盗んでその家を出て、数日後に知らない男に襲われた。足を払って引き倒して、彼の真似をして殺した。
私は子供から歳若い女になっていて、治安の悪い地域を歩くには危険ばかりが付き纏った。最初はただ逃げた。少ししてから、襲われたら殺すようになった。更に時間が経って知恵がついて、数人を相手にできるようになった。力に敵わずされるがままになる回数は、次第に減った。
お金と引き換えに人を殺すようになったのは、初めて人を殺してから二年が経った頃だった。
無駄に地位のある人間の暗殺を依頼されるようになったのはここ二年ほどで、今回は確か、α国の軍人と、W国の官僚からほぼ同時に依頼を受けて。
と、思い返してふと気づく。
私に人の殺し方を教えたのって、兄さんでは？
「……えっ」
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陽乃(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます、黒猫様の御趣味に添えられたようで嬉しい限りです。続編ものんびり書いておりますので、楽しんでいただければ幸いです。 (2020年5月29日 16時) (
レス) id: 89afdb7f98 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 全て見させていただきました。俺はこういう作品が好きなので、とてもいい気持ちになりながら見ていました。神作品をありがとうございます。 (2020年5月21日 10時) (レス) id: 0779f5a88d (このIDを非表示/違反報告)
陽乃(プロフ) - （名前）さん» コメントありがとうございます。建物の設定は実在する基地や城塞、そして仰る通り大脱走など御本人たちの動画を参考にした部分もありますね。気づいてくださって嬉しいです。 (2020年4月12日 21時) (レス) id: 4760b364cd (このIDを非表示/違反報告)
（名前） - 9の途中まで見ました〜なんかPX、商店、、かな？みた途端、大脱走元にしてるんかなって思ったーーー！！実際どうですか？本当に大脱出が元だったら、、違うくても、話の作り方、うますぎる… (2020年4月12日 19時) (レス) id: ca685f05f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽乃(プロフ) - 黒胡椒さん» コメントありがとうございます、のんびり更新していきますのでよければお付き合いください。 (2020年4月4日 3時) (レス) id: 4760b364cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽乃 | 作成日時：2020年3月16日 17時
