1.総統室 ページ1
＊1〜4話まで、軽度な暴力表現(首絞め)があります
勘弁してほしい、前世の記憶を思い出したのが推しを殺す三秒前ってどういうことだ。
床に引き倒した私の首に手を掛け、胸に膝から下を乗せて圧迫し、ナイフを構えたままの、軍服に赤いマフラー姿の男。我々国、通称W国の書記長であるトントンを見上げながら、危うく思考を投げ出しそうになった。ちなみに彼も前世の推しである。
「……誰や、お前は」
私が聞きたい。
前世については一言で済む、オタクだった。死に際についても一言、飲酒運転のトラックに轢かれた。はいはいトラ転トラ転。
そして今世の私は、どうやら貧困街出身で凄腕の暗殺者だったらしい。小さい頃の記憶は朧気だが、まあ碌な人生ではなかったようで、そのおかけでと言うべきか、友人や恋人はおろか家族もいない。また人間不信と言えるレベルで警戒心が非常に高く、仕事の邪魔をする相手に対しては殺意も高いらしい。
目の前の彼を殺してはならないと認識しているのに、気を抜けば腕が動きそうだ。どうやらそこは前世の私の性格ではなく、今世の性格が強く出ているらしい。適当に笑って誤魔化すことが出来るあたりは前世だ、記憶を辿る限り今世の私はほとんど表情を動かせなかったようだから。
「聞いとるんか」
さて、今世の私の仕事のやり方は至って簡単、報酬が高い依頼なら各国どこへでも赴き、誰でも殺す。周辺の国々の政府は当然私を認識しており、その使い勝手の良さから存在を秘匿していた。そしてとある一国の軍人だったか官僚だったか、兎も角依頼をされたのは、我々国の総統、グルッペンの殺害。
我々国の幹部達は非常に優秀で、だからこそ誰も彼らの殺害を依頼してこなかった。一対一なら彼らと渡り合えるであろう貴重な存在である私を、いざという時、彼らに戦争を言い渡された時、味方につけるために。
そして今回それが依頼されたのは、運が良ければ私と彼らのうちの誰かの相討ちを、そうでなくとも、少なくとも私が殺されることを望んでのことだろう。つまりは、私が彼らにとって脅威となったのだ。浅緑の彼と同じ立場だなんて畏れ多いが。
「おい」
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陽乃(プロフ) - 黒猫さん» コメントありがとうございます、黒猫様の御趣味に添えられたようで嬉しい限りです。続編ものんびり書いておりますので、楽しんでいただければ幸いです。 (2020年5月29日 16時) (
レス) id: 89afdb7f98 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 全て見させていただきました。俺はこういう作品が好きなので、とてもいい気持ちになりながら見ていました。神作品をありがとうございます。 (2020年5月21日 10時) (レス) id: 0779f5a88d (このIDを非表示/違反報告)
陽乃(プロフ) - （名前）さん» コメントありがとうございます。建物の設定は実在する基地や城塞、そして仰る通り大脱走など御本人たちの動画を参考にした部分もありますね。気づいてくださって嬉しいです。 (2020年4月12日 21時) (レス) id: 4760b364cd (このIDを非表示/違反報告)
（名前） - 9の途中まで見ました〜なんかPX、商店、、かな？みた途端、大脱走元にしてるんかなって思ったーーー！！実際どうですか？本当に大脱出が元だったら、、違うくても、話の作り方、うますぎる… (2020年4月12日 19時) (レス) id: ca685f05f7 (このIDを非表示/違反報告)
陽乃(プロフ) - 黒胡椒さん» コメントありがとうございます、のんびり更新していきますのでよければお付き合いください。 (2020年4月4日 3時) (レス) id: 4760b364cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：陽乃 | 作成日時：2020年3月16日 17時
