【文スト】白虎の片割れ。第二幕

Episode.40 - Dignity ページ3

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部屋には、カリカリとペンの音。



「うんうん、問一、【x^2+5x+6】だね。此れは？」



「因数分解。答えは(x+2)(x+3)。…合ってる？」



「うん。正解」



今は、毎日続けている勉強の時間。



今、鏡花と一緒にやっているのは因数分解なんだけど、此れ、実は中三の問題。



ちなみに、私が此れを習ったのは、14の頃。







「うーん…。鏡花、凄いよ。未だ12なのに。
私、此れを習ったの、14の頃ですっごくつまずいた単元なんだよ」



「そう、なの…？私、此れは得意」



「そっかぁ…。此の単元以外も。
鏡花は一度教えただけで、完璧に覚えちゃうんだもん。
鏡花は将来、どんな職業でもやっていける筈だよ」



「そう…。ありがとう、姉様」



「うん。じゃあ、次の問題もやってみよっか」







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壁掛時計が、12時を指した。



「…あ、そろそろお昼だね」



「ほんとだ…。今日は何にする？」



「うーん…じゃあ、今日は素麺(そうめん)にしようか」



「…分かった。一緒に、作ろう」









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鏡花は本当に凄い。とても強い。



私と違って、お父様とお母様が死んでしまった瞬間を見たというのに。



お父様とお母様が死んだのはつい一年前の事。



其れなのに、こんな僅か一年だけで、こんなにも人は変わる事が出来るのかと思うと、少しもどかしい気持ちが込み上げる。









────駄目。



私も、もっと強くならないといけない。



鏡花に置いていかれては、姉失格だ。



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Dignity=威厳

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