アリス、見つかる ページ9
｢どういうこと､と言われましても……｣
電話の相手方は恐怖の大魔王､雲雀恭弥だった｡どうやらAのバンクルに付けられたGPSの位置情報がボンゴレ本部になかったことを知り､連絡してきたようだ｡
｢Aは､タリアテッレに行くと残して出ていきましたから……｣
｢……へえ､タリアテッレとやらはこんな治安の悪い場所に身を置いてるわけ｡随分と野蛮なファミリーなんだね｣
｢え?｣
治安が悪い場所と皮肉っぽく言われ､ツナは首をかしげた｡タリアテッレには何度か足を運んだことがあるものの､そんな物騒な立地条件ではなかったはず｡
しかし雲雀の口から告げられた住所は確かにあまり良い噂を聞かないような場所だった｡
なぜAはタリアテッレではなくそんな所に?しかも30分以上もずっと?
正直訳が分からなかった｡いくら出会った当初､路地裏にいたからってさすがにあんな場所に自ら行くなんて……｡
そこまで考えてツナはハッとした｡考えたくはなかったが､それ以外考えようがない｡
｢雲雀さん……ありがとうございました｣
顔を真っ青にして受話器を置いたツナに､クロームが尋ねた｡
｢ボス……?どうしたの?｣
｢……確証はないけど､多分､今……｣
彼女からの問いにツナの顔色が変わることはなかった｡ただただ焦っているように見えたと言う｡
｢Aが､危ない｣
雲雀が告げた住所は､最近ここいらを騒がせている輩がたむろしているはずの場所だ｡マフィア関係者ではないがかなり厄介な連中で､警察も手に負えないと以前ディーノが語ってくれた｡
色々な悪事を仕出かしているとのことだったが､奴らの十八番は人身売買｡特に幼い子どもを拐っては商品として扱っているとか｡
Aはまだ8歳で､見た目も可愛らしい女の子｡1人で歩いていたとなれば､これまでにない獲物だろう｡いくらそこそこの実力があるとはいえ､大人相手に立ち向かえるとは思えない｡たとえ立ち向かえたとしても､不意をつかれたら?相手はきっと対等に戦おうとはしないし､卑怯なことはきっと得意中の得意だ｡
−−早く行かねば､Aは｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年9月17日 21時
