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入ってきた人物に全員が思わず安堵の表情を浮かべた｡待ちくたびれたぞ!なんて声までかけられる｡
｢うん､ごめんね｣
ボンゴレデーチモ沢田綱吉､満を持して参上である｡
しかし彼の表情はかなり暗く､その原因が遅れたことに対するものだけでないことは一目瞭然であった｡
ツナは上座の席へ腰を落ち着けると､机に紙を置いた｡そして獄寺を呼ぶと､筆跡を確かめるよう頼んだ｡
獄寺は頼まれた通り､紙を広げて目を通し始める｡その間､1人として口を開いた者はいなかった｡
｢10代目!これは一体｣
｢どうなの｣
獄寺の問いを遮ってツナは尋ねる｡
そんな様子に少し驚きながらも､獄寺は絞り出すように答えを告げた｡
｢……間違いなく､Aの字です｣
それを聞き､残りの守護者も紙を奪い読み始めた｡
『ボンゴレのみんなへ
何も言わずに出ていってごめんなさい｡
いっぱいおせわになったのに､おん返しできませんでした｡
Aはタリアテッレに行きます｡
今までありがとうございました｡
A』
｢おい、沢田!これはどういうことだ!?｣
｢どうもこうも……それが全てです｣
ツナはうつむいたまま､ぽつりと呟いた｡
｢それだけで納得できるわけないだろう!｣
｢……分かりました｡話します､今までのこと｣
猛抗議を受けたツナは､至極丁寧に経緯を語り聞かせた｡
かなり前からタリアテッレからA宛ての勧誘を受けていたことも､実際にAがその事実を知ったのは昨日だということも｡包み隠すことなく全てを｡
静寂が訪れた頃､唯一口を開けたのは右腕を騙る男だった｡
｢……10代目はこのことに本当に納得しているんですか?Aが出ていくと言っても､あなたなら止めることだってできたはずです｡交渉相手がボンゴレより格下のタリアテッレなら尚更｡あいつを一番可愛がってたのは紛れもなく10代目じゃないですか｡なのに､どうして｣
｢俺だって!｣
静かに問い詰める獄寺に､ツナは叫ぶ｡
全員の息を飲んだ様子を見て､彼はハッとしたように顔を歪めた｡
｢……俺だって､本当は止めたかった｡でもあんなこと言われたら､留めておくなんてできないよ……｣
ツナが悲しげに本音をこぼしたところで､会議室備え付けの電話が鳴る｡覚束ない足取りで受話器をとったツナの耳に届いたのは冷たい声だった｡
｢ねえ､どういうこと｣
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年9月17日 21時
