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年相応に彼女はワンワン泣いていた｡嗚咽をこらえることなく､雨音じゃ誤魔化せないほどの大声で｡
確かに感情をぶつけられたことは過去にもあった｡だけどこんなに自分の感情に任せて､素直に泣くAをハットは見たことがなかった｡静かに泣く彼女か､怯えて泣く彼女しか知らなかったのだ｡
八つ当たりに近いものをぶつけられて､彼は困惑していた｡しかしどういうわけか､ちっとも怒りはわいてこない｡不思議だった｡
そして一向に泣き止む気配を見せないA｡あわあわとしていたハットだったが､意を決したようにその涙をすくった｡
｢A､その､えっと……泣きすぎると､目が溶けちゃうよ｣
｢うそっ!?｣
｢うん､嘘｣
ぱちくりと数回まばたきをして､Aはふっと吹き出した｡釣られたようにハットも笑う｡もう涙は止まっていた｡
｢目が溶けちゃうなんて､そんなわけないよね､あはは!｣
｢でもいっぱい泣いたから､まぶたが腫れちゃうかも｡帰ったら冷やした方がいい｣
｢うん……はい?｣
｢止めたくないわけないって､どうか分かって｡彼はいつだって君の幸せを祈ってたんだよ｣
きょとんとするAがなんだか可愛くて､ハットは思わず頭を撫でてやっていた｡
この子はまあ､どうして昔からこんなに愛らしいんだろう｡
答えなんて何でもよかった｡ただハットは彼女の幸せをひそかに願っていたのだ｡物語では帽子屋がアリスの味方になってやれなかった分まで｡
撫でていた手でスッとAの後ろを指せば､彼女は息をのんだ｡
雨上がりの空には虹､そしてそちらから駆けてくるのは｡
｢ツ､ナさんっ!?えっえっ?……あれ｣
訳を聞こうと振り返ったところでもうハットはいない｡木に1本､傘が立て掛けられているだけ｡
｢……傘､持ってないって言ってたじゃん｣
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更新ペースが遅くて､本当に申し訳ありません｡完結に向けて執筆頑張ります｡
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ついでにおこがましい申し出をしますと､気が向いたらコメントいただけるとテンションぶち上がります｡
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作者名：futureblue�鏡� | 作者ホームページ：http:/
作成日時：2020年9月17日 21時
