＃7 ページ41
.
そうだ、そうだった。
ぶるっくは激しい頭痛に意識を失いかけながらも、あの日のことを鮮烈に思い出した。あの日、不良達を焼き尽くし、ビルを燃やし、そして家に帰って両親を殺したのだ。
人を殺した子供なんて、要らないと思ったから。それに、合わせる顔なんて、なかったから。
だから殺した方がマシだと思ったんだ。警察なんかに捕まれば、能力者だとバレて殺される。自分の罪をそんな形で償うのなら、殺して、何もかも忘れて、なかったことにして･･･逃げて･･････
認めたくなかった、ずっと逃げて来た過去なのに。
「･･･うぁっ、･･･ごめんなさい、ごめ、んなさい、･･･ごめんな･･･さいっ･･････」
ぶるっくは頭を抱え、小さく震えて懺悔した。絞り出すように発したか細い声は、今にも消え入りそうな程に弱々しい。
研究員はその姿を見て、落としていた照明を点灯させると、再び事細かにメモを取った。誤り続けるぶるっくを、研究員のボスはただにんまりと見下ろすだけだった。
そしてぶるっくは「天邪鬼」が何なのかを、嫌でも理解してしまった。なぜなら、あの日、ぶるっくは「天邪鬼」の能力を口にしていたのだ。
《 爆滅術、上級の炎 》
世界には能力者が存在する。そして、その能力者の中でも身分に似た階級があった。
普通の能力者は、そもそも術を持っていない。術とは、ある特定の能力者にしか使うことが出来ない、難易度の高い能力技法なのだ。
その特定の能力者を、人々は「 天邪鬼 」と呼ぶ。ぶるっくも天邪鬼の一種だ。
天邪鬼は、能力界の中で一番上に属する。そして天邪鬼の中でも上級と下級に分けられ、それは使用する術の語尾に着けられる術語で簡単に見分けが付いた。
ぶるっくは炎の能力者だ。
そのため、「爆滅術、上級の炎」と唱えることで、上級能力が使用可能となる。上級、下級はそれぞれ能力の強さによって区別され、天邪鬼の中でも身分差別が起きるほどにハッキリしたものと言っても良いくらいだった。
天邪鬼、上級の炎の能力者。
研究員がこぞって実験対象にする理由もよく分かった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
CA(プロフ) - クロウさん» コメントありがとうございます。直球なお言葉、とても嬉しいです...!! これからも読者様に楽しんでいただけるような作品を作っていきたいと思います、今後ともよろしくお願いします! (2020年4月28日 11時) (
レス) id: 8d937f2b1a (このIDを非表示/違反報告)
クロウ - 僕この話好きです！ (2020年4月27日 23時) (レス) id: 832b7f5fb6 (このIDを非表示/違反報告)
CA(プロフ) - green naverさん» コメントありがとうございます。個人的に大好きな実況者様方で書かせてもらってます! 能力戦は難しかったりもしましたが...笑 楽しんで頂けたら何よりです、応援ありがとうございます!(^^) (2020年2月26日 18時) (レス) id: 4ca6b68f3a (このIDを非表示/違反報告)
green naver - 面白いですね！特に我々ださんだけでなくミナツドさん方も出て来ているんですね！戦い途中など、分かりやすかったです！今後も頑張ってください！ (2020年2月26日 17時) (レス) id: 0ae479fb97 (このIDを非表示/違反報告)
CA(プロフ) - もみぢさん» コメントありがとうございます。お気づきになりましたか･･･そうです、ついに後半からはあの方々が出演致します･･･笑 ここからはアクションが多めとなりますので、今後ともよろしくお願い致します！ (2020年1月14日 20時) (レス) id: 44e41f1df7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
