◆ 灯籠の記憶 ページ34
目を開けたくなかった。いや、開けたらいつもの光景が見えると望んでいた。
しかし現実はそう簡単にすり替わってくれるものではない。
ぶるっくは細く目を開くと、目の前の鉄格子を何の感情もない目で見つめた。背中が熱い。拷問を受けたのがついさっきだと錯覚してしまう程に、熱い。
ぶるっくは微かに体を捻ると、ブンと音が鳴って部屋の照明が一斉に点灯した。ぶるっくが動いた故に、センサーが反応したのだ。
白銀に包まれる中、細めた目を開くと、そこには夢だと願っていたはずの研究者達が当たり前のように立っていた。
「少しは休めたかな」
「･･･こんなので休ませる気あるのがビックリだよ」
「憎まれ口を叩くようじゃ休めたようだね。実験に入ろうか」
「いつか、絶対に殺してやる」
「･･････ふむ、楽しみにしている」
研究者は牢獄の外に出ると、シャークんの時と同様、ぶるっくの拘束を外し、ガラス張りの檻で囲った。自由になった手足を軽く動かし、キッと研究員を睨み付ける。
「ちなみに、君の相棒の能力者には、すでに実験済みだ」
「っ･･･！シャークんに手出さないで！！」
「･･････実験次第だ。･･･では実験を開始する。周波数を二にセット」
研究員はその言葉を聞くと、事前に持っていた分厚いゴーグルのようなものをかけた。ぶるっくは嫌な予感がすると、素早く身構える。すると、バチッとブレーカーの落ちる音がした後に、室内の照明がすべて落ちた。
「ちっ…」
暗闇に目が慣れるのはしばらく時間がかかる。ましてや一筋の光さえもないこの空間では、時間がいくら経ってもなにも見えやしないだろう。
きっと研究員がかけていたのは暗視ゴーグルだ。今になってようやく分かる。自分の知らないところから、相手が自身を監視しているなんて悪寒がする。
ぶるっくは炎で照らそうと手に能力を集めるが、ウィンとリングが機能を開始して発光し始めた。どれだけ力を込めても炎は出ずに、リングだけが光る。ぶるっくはこのまま能力を解放し続ければ、リングの光で辺りを照らし続けることができるのではないか、と考えたが、すぐにやめた。
能力を解放し続けるには、かなりの体力と気力が必要になる。
ましてや拷問を受けた後など、疲労で体が持つか分からない状況で、照らすためだけに解放し続けるのはハイリスクノーリターンだ。
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CA(プロフ) - クロウさん» コメントありがとうございます。直球なお言葉、とても嬉しいです...!! これからも読者様に楽しんでいただけるような作品を作っていきたいと思います、今後ともよろしくお願いします! (2020年4月28日 11時) (
レス) id: 8d937f2b1a (このIDを非表示/違反報告)
クロウ - 僕この話好きです！ (2020年4月27日 23時) (レス) id: 832b7f5fb6 (このIDを非表示/違反報告)
CA(プロフ) - green naverさん» コメントありがとうございます。個人的に大好きな実況者様方で書かせてもらってます! 能力戦は難しかったりもしましたが...笑 楽しんで頂けたら何よりです、応援ありがとうございます!(^^) (2020年2月26日 18時) (レス) id: 4ca6b68f3a (このIDを非表示/違反報告)
green naver - 面白いですね！特に我々ださんだけでなくミナツドさん方も出て来ているんですね！戦い途中など、分かりやすかったです！今後も頑張ってください！ (2020年2月26日 17時) (レス) id: 0ae479fb97 (このIDを非表示/違反報告)
CA(プロフ) - もみぢさん» コメントありがとうございます。お気づきになりましたか･･･そうです、ついに後半からはあの方々が出演致します･･･笑 ここからはアクションが多めとなりますので、今後ともよろしくお願い致します！ (2020年1月14日 20時) (レス) id: 44e41f1df7 (このIDを非表示/違反報告)
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