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それきり機械は沈黙してしまって、話し相手のいなくなった私は来た道を戻ることにした。
四月の日差しが容赦なく私を突き刺す。ジリジリと首筋が焼けるような感覚がある。桜の花は散ったのか、或いは辺りには元々木がなかったのか。
以前来た時に見た花弁をもう一度目にすることはできず、ただ年老いた白猫が不機嫌そうにこちらを一瞥して去っていくのをぼんやりと眺めていただけだった。
「あっついな……」
この辺りが盆地であるためか、熱が篭もりやすいような気がする。気がするというだけで実際どうなのかはわからないけれど。
どうしてこんなところに巨大な冷凍室のような施設を作ったのか、なんてのを尋ねるほど馬鹿ではない。政府の機密情報は基本的に部外者は閲覧することはできないのだから、こんな疑問を持つこと自体が無意味だ。
早く帰ろうと思った。
身体が重い。遠いこの地まで来たためか、それとも彼女と会話をしたためか。ズキズキと痛み始めるこめかみに手を当てて、なんとかやり過ごそうとしていた。
……
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作者名：木浪 | 作成日時：2020年4月21日 15時
