013 ページ13
＊
何度か首をあちこちへ擡げ、スンスンと鼻を鳴らしてからシバは一気に走り始めた。成程、流石サン君の召喚物だけあって、人間の言葉を理解できるのか。
私達もそれに走って着いて行くと、ある部屋の前で急に止まって大きく何度も吠えた。先程、迷わないようにと既に行った部屋、つまりドアが開いた部屋はそのドアを開け放しにしておいたのだが。
……シバの吠える部屋のドアは閉まっている。
つまり私達が訪れていない部屋。
この部屋の中?と聞いたサン君にシバが再度強く吠えた。
両サイドの部屋のドアは開いている、つまり私達は先程既にこの部屋を通ったということだ。そしてドアが開かなかったことも同時に意味している。
困惑したようにサン君がシバを宥めるが、シバはここなんだと訴えるように前足を掛けて吠え続ける。するとドアから一瞬、何かが反射したような光を感じた。
ドアへ駆け寄って戸先のチリを覗き込む。
するとやはり、何かがある。
「ここ、鍵がかかってるんじゃなかったんだ。」
「……あ、これソンファヒョンの能力ですね。」
唐突な私の奇行に疑問を持ったのだろう、私の後ろから覗き込むようにヨサン君が声を上げた。首を傾げると、彼の能力は水晶のような結晶を生み出す『結晶化』だと教えられる。
となるとシバの吠える通り中にはそのソンファと呼ばれたメンバーが。
ヨサン君がじっとドアを見つめて、小さくいた、と呟いた。
「2人ともいる。
ホンジュンイヒョンは結晶の中に入ってて、それに寄り添うようにソンファヒョンが眠ってる。
ジョンホヤ、これ壊せたっけ?」
「や、シンプルにヒョンのは強度えぐすぎて俺の力じゃ無理です。ヌナこれ無効化でどうにかできませんか?」
ジョンホ君が手にどこか既視感のある気がする赤いラインを浮かばせながら、ドアをガチャガチャと鳴らす。しかしドアごとがっちりと固めているようで、最終的に彼がタックルをしてもびくともしなかった。
ちなみに私の無効化はあくまで能力者が能力を使用するその瞬間に限るので、今回のように一度生産されて能力者の関与を受けないものは無効化できない。
「じゃあ……これはもう外れないってこと?」
「や、多分ソンファヒョンが目覚めれば自分の能力だから再結晶で少しいじれると思う。
……或いはユノが目覚めれば。」
捨てられた犬のように眉を歪ませたジョンホ君をサン君が宥める。話を聞くと、ユノ君の能力は『コピー』らしく、1度見た能力を基礎のものだけ使えるようだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 87人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Tie(プロフ) - 初めまして。ateez目的で読み始めましたが、(地球滅亡の方と共に)とても好みの作品で1作目から何周もしています。もう更新されることは無いかもしれませんが、こんなに面白い作品を作ってくださりありがとうございました。楽しく読ませて頂きました。 (2022年9月3日 17時) (
レス) id: 031775e238 (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - かまみのさん» 初めまして、お褒めの言葉をありがとうございます。更新やレスポンスにお時間が開いてしまいすみません。本編終了後にはもっとじっくり彼らとの小話も書いていきたいですね……！コメントありがとうございました！ (2020年10月10日 21時) (レス) id: 2ace97a462 (このIDを非表示/違反報告)
かまみの(プロフ) - めっちゃ面白い！NCT好きだから出てきて嬉しい (2020年9月2日 23時) (レス) id: 30d38f5d7d (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - オンマさん» 初めまして、温かいコメントをありがとうございます！最近忙しくて、前のように頻繁に更新できるかは分かりませんが頑張りますね！私もハマっているので同じ趣味の方がいらっしゃって嬉しいです^^ (2020年5月7日 1時) (レス) id: 959b48d95f (このIDを非表示/違反報告)
オンマ(プロフ) - はじめまして。 この話を見つけてイッキ読みしました^^ のめり込んでいます。 面白い。 頑張ってください。 私は、ATEEZにハマっています。 (2020年5月6日 21時) (レス) id: 51e1e6ee34 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
