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―冬休み―
私の卒論も無事終わり、単位もきっちり取って卒業認定ももらえて一安心だ。
メガネくんもドラフト1位で東京の球団に入団することになった。
メガネくんとは定期的に電話していたけど、実際に会ったのは夏の大会だけだった。
そして、告白の返事はまだしていない。
メガネくんにも「まだ言わないで」と言われて、このはっきりしない関係は続いていた。
お父さんの大阪での仕事も区切りがついたらしく来年の春からは東京に戻ることになった。
私も卒業式まで大学はほとんど休みだから、今年は東京の家に戻り新年を迎えることになった。
A「あーなつかしい・・・。全然変わってないねー」
母「庭は大荒れだけどね・・・」
父「お正月迎える前にキレイにしとかないとな」
A「私は部屋片づけてこよーっと」
母「ちゃんと手伝いなさいよ」
A「・・・・はい」
その日は半日家中の片づけをして、新年を迎える準備をした。
A「あー、疲れた・・・」
母「Aごめんね〜、卵買ってきてくれない?」
A「えーーー・・・」
母「お酒もないし」
A「行ってきます」
お酒が無いのは大変だ。
私はスーパーで卵1パックとお酒を大量にかごに入れてレジを済ませた。
A「さすがにこれは買いすぎたかも・・・」
お酒のせいで袋はパンパンになってしまった。それに結構重たい。
A「今日はたくさん飲まないとな〜」
私は両手で袋を持って出口に向かった。
「おねーさん!」
聞き慣れた声がして振り向くと、ジャージ姿のメガネくんが立っていた。
A「メガネくん・・・?」
御幸「おねーさん、戻ってたの?」
A「うん。今日ね」
御幸「俺もさっき帰ってきたんだ。今日まで合宿だったから」
A「あ〜、あの地獄の・・・。お疲れ様」
御幸「ありがと。・・・ていうか何その荷物。お酒ばっかりじゃん」
A「いいのっ!全部私が飲むんだから!」
御幸「まあいいけど、重たそうだから持つよ」
メガネくんに買い物袋をヒョイと取られてしまった。
A「だ、大丈夫だよ!メガネくんも疲れてるでしょ」
御幸「去年ほど辛くないから大丈夫。暗くなる前に行こ」
A「あ、ありがと」
メガネくんが小学生のときにもスーパーで何度か会ったことがある。
あの時とは違って、メガネくんの背中は広くてたくましかった。
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うへ子 - 面白い自分好みの小説です!もっと書いて欲しい(我の願い) (2021年7月1日 20時) (レス) id: 5d1e784f6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Sone | 作成日時:2021年6月22日 18時