step32 ページ32
Your side
美咲「あー！何でこんなこと気づかなかったんだろう！！」
『美咲、落ちついて。』
美咲「みんな本当にごめんね……。」
『大丈夫だよ。頑張ろ。私も頑張るから。』
部活の大会が１週間後に迫った今日。
何と脚本の一部に重大なミスが見つかり、部員総出でその修正にあたっていた。
美咲は脚本の修正とそれに伴う改変の指示をみんなに出していて。
私は大道具、小道具の修正や作り直しに奔走していた。
「お疲れー！差し入れ持ってきたよー！！」
みんなが忙しく立ち働く教室に、不意にこんな明るい声が響く。
声の元に目を向けると教室の入口に、手に大きなビニール袋を提げた怜央の姿があった。
『怜央！差し入れ持ってきてくれたの？』
長妻「うん！A頑張ってるかなーって思って。
アイス持ってきたからみんなで食べて？」
『うん、ありがと。』
怜央は今までも毎年大会前に差し入れを持ってきてくれていたけど、まさか卒業した今年も来てくれるとは。
差し入れだって、部員全員分なんて買ってきたら相当な金額になるのに、それでも毎年こうして何か買ってきてくれるのは申し訳なくもあるけどとっても嬉しい。
『みんな！怜央がアイス差し入れてくれたから１回休憩にして食べよう！』
私が声を上げると、みんながわっとこちらに向かってきた。
みんな疲れてた頃だからちょうど良かったみたい。
長妻「A、大変そうだね。ヤバいの？」
私の隣に座って部員と同じようにアイスを食べる怜央にそんなことを訊かれて。
『んーとね、脚本に大幅な修正が入って。
でも大丈夫。何とかする。』
長妻「おお、かっこいい。
何か手伝えることあったら言って。絵は描けないけど、荷物運びくらいなら俺もできるし。」
怜央はニコニコとそんなことを言っていて。
確か、運びたいものとか男手が必要な作業とかいっぱいあったような。
『えっ、じゃあ色々頼んじゃおうかな。』
長妻「任せろ！」
そう言った怜央はその後言葉通り、部員と同じくらいかそれ以上に働いてくれて。
いやぁ、それにしても大きくなったなぁ。
身長伸びたし、重いものも軽々持ってくれるようになったし、もうすっかり男の人って感じだ。
本当に、大きくなったなぁ。びっくりするくらい。
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作者名：綺羅 | 作成日時：2017年6月1日 23時
