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Your side
財布、戻ってきてよかった。
中に生徒証とかも入れてたから、失くしたら大変だったし。
それにしても、拾ってくれた人かっこよかったな。
中身も何も盗られてなかったし、いい人で良かった。
なんて、もう1週間も前のことなのに何故だかふと頭に浮かんで。
……あ、そっか。駅の絵描いてたから思い出したんだ。
美咲「Aー?大丈夫?作業終わった?」
『うん、平気。ありがと。』
絵筆を持ったままぼーっとしていると、クラスメイトで部活仲間でもある美咲に声を掛けられた。
美咲「これ背景?めっちゃいい感じじゃん!」
『そう?よかった笑』
私は演劇部に所属してる。
とは言っても、役として出る方じゃなくて裏方。
専ら大道具やら背景やらを作ってるんだよね。
『美咲はどうなの?脚本、修正終わった?』
美咲「んー、あと1歩って感じ。」
美咲は脚本担当。
脚本書くようになってから国語の成績上がったって喜んでたっけ。
高3になって、部活に対する責任も増えて大変だけど、その分私たちのやりたいようにできるから楽しい。
秋の文化祭で引退だけど、正直まだまだやり足りないくらい。
美咲「そろそろ下校時刻だから、片付けて帰ろっか。」
『あ、もうそんな時間なんだ。』
時計を見ると、確かに下校時刻が迫っていて。
過ぎると活動停止になっちゃうから、急がないと。
美咲や他のみんなが大道具や背景を片付けてくれて。
私も手に持ったままになっていた絵筆やパレットを洗っているうちに、さっきまで考えていたことは忘れてしまった。
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作者名:綺羅 | 作成日時:2017年6月1日 23時