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コウside
「私は皆の言葉を覚えているよ。
一字一句全て、ね」
鳥肌が立った。
もちろん、この場でAさんが嘘をついている可能性だってゼロじゃない。
それでも、彼女がはっきりと、凛とした目でサトルさんを見つめて言い放ったその姿は、信用できる気がした。
「まぁ、私が言えるのはこのくらい。
ご静聴ありがとうございました」
そう言ってふわりとAさんが微笑んだ瞬間、張り詰めていた空気が緩むのすら感じる。
そのくらい、彼女の言動にはこの場を動かすような力があったということで。
俺はコイツを侮っていたのかもしれない、と素直に感嘆した。
「ユキ、そういえば睡眠薬の話してなかったよね?」
「あ…そうだったね」
そして、姉は弟にその場をゆずって裁判の場から1歩下がる。
あとは、ユキナリの独壇場だった。
睡眠薬の存在によってサトルさんがミホさんやミサキさんにコーヒーを勧めていたこと。
腹を下していたタケオさんは、サトルさんからコーヒーをもらい飲んでいたことが浮き彫りになる。
サトルさんの処刑が確定するのに時間はかからなかった。
…こんな言葉がある。
三人寄れば文殊の知恵。
『平凡な人でも3人よれば良い知恵が出るものだ』…協力することの大切さを説いた、ことわざの1つだ。
俺は今でも、1人の方が良いと思っているし、楽だと思っている。
だが、霜月姉弟の手を取り合う姿は、俺の心にわずかな波紋を残した。
「(…期待するな、俺)」
心を押し潰すように、俺は左胸を強く掴む。
鼓動はそれでも、トクトクと動き続ける。
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アヤノ(プロフ) - 鈴錬さん» ありがとうございますー!これから頑張ります^_^ (2018年5月27日 20時) (レス) id: 090e21dff8 (このIDを非表示/違反報告)
鈴錬 - 続編がッ…楽しみすぎるッ…!! (2018年5月27日 19時) (レス) id: 28c60ad67a (このIDを非表示/違反報告)
アヤノ(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます!!これからも頑張っていきます…!!(≧∀≦) (2018年5月26日 18時) (レス) id: 6c09e3d638 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - アヤノさん>>ありがとうございます!!今回もとても凄かったです!!続き楽しみにしてます! (2018年5月26日 18時) (レス) id: 3a8da8a787 (このIDを非表示/違反報告)
アヤノ(プロフ) - さくらさん» コメありがとうです!これからちょくちょく絡ませていきます…!! (2018年5月25日 7時) (レス) id: 6c09e3d638 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アヤノ x他1人 | 作成日時:2018年5月14日 21時