一日目 ページ16
翌日。午後四時頃。僕は目黒さんと、とあるマンションに来ていた。ここが今回の仕事場。
「ええと…三階の左から四番目……ここか。ラウール、石みたいなの落ちてない？」
今回のターゲットは若い女性。どうやら大学で後輩から金をむしり取っているらしい。僕が目黒さんに石を渡すと、目黒さんはそれを投げた。
そして、僕を連れて少し離れる。しばらくすると、窓が開いて女性が出てきた。
「目、瞑ってて。良いって言うまで絶対に開けるな」
目黒さんに言われるまま、僕は目を閉じた。確か目黒さんの怪異は『くねくね』って言うんだっけ。怪談をほとんど知らない僕は変な名前だなぁと思いながら、目を瞑り続けた。
キャーッ！
突然甲高い音が響いた。思わず目を開けそうになるが、制される。ドサッという音と目、開けていいよ。という目黒さんの声が同時に聞こえた。
「何……これ……？」
目を開けると先程の女性が地面に落ちていた。
「あ〜、やり過ぎちゃったかな？ま、生きてても元通りの生活なんて送れやしないか」
目黒さんはそう言うと、通りの奥を指差した。そちらを見ると、そこには『何か』が居た。それは白くて変な動きをしている。人の様に見えるけど……アれハモシかシテ……
「はい、ストップ」
目黒さんがそう言うと、変なのは消えた。
「あれが『くねくね』。ずっと見てると狂うよ。じゃ、後は阿部ちゃんに任せてご飯行こうか」
目黒さんは歩き出す。僕もついていく。……あれ以上見つめてたらどうなっていたのだろう。想像したくないのに考えてしまって怖くなった。
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作者名：カルカンサイト | 作成日時：2022年10月2日 2時
